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K.K side
Aがどうしてここに居るのか分からない。
Aは北人たちに見られてる意識はあるのか。
珍しい彼女の行動に俺は笑いが止まらない。
壱馬「なぁA」
『……はい』
壱馬「お前はええ子やな」
『っ』
壱馬「北人が何に変えても守りたい気持ちがわかるわ」
北人「ちょっと」
壱馬「なぁA」
『…………』
壱馬「見られてんで」
恥ずかしさが来たのか、Aはゆっくりしゃがみこみ、
俺もつられてしゃがんだ。
隣には心配した北人が駆け寄ってきて。
北人「A、壱馬!」
壱馬「恥ずかしいだけだよなA」
『追い打ちかけないでください』
樹「まぁまぁ良いじゃんA。
カッコよかったよ」
『バカにしてんでしょ』
樹「してないって」
Aは俺の背中に顔を押し付けてて、
何気なく可愛いなって思った。
それくらい、そう思えるくらい
俺自身にも心の余裕ができてきたんだって実感した。
壱馬「北人」
北人「ん?」
壱馬「……ありがとな」
北人「っ。
うん、別に……うん」
壱馬「樹も」
樹「俺は何もしてません」
壱馬「Aも」
『私は、色々すみませんでした』
壱馬「それは、その件については
一緒に抱えてくしかないやんか」
俺とA。
生まれた場所も、育ってきた環境も違う。
同じなのは、
両親がろくでもないこと。
それはここに居る全員がそうで。
でも、俺らは互いを親に殺されかけた同士。
俺らはこれから先、
その事も背負って生きていく。
でもひとりじゃない。
俺には、Aが。
Aには、俺が。
互いがついてる。
それだけでも心強く感じた。
―――俺は、独りじゃない。
そう思えるようになったんだ。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年12月20日 11時