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学校を出た帰り道。
私たちは仲良く手を繋いで先輩が好きだって場所に向かった。
まぁそれもいつもの公園なんだけど。
壱馬「この公園で恥ずかしいくらい泣いてたなぁ」
『私は嬉しかったですよ。
先輩の弱い部分を見れて』
壱馬「その先輩ってのやめろ。今二人っきりなんだから」
『ふふっ。そういうヒトなんだ？』
壱馬「あ？」
『なーんでもな〜い』
壱馬「なんだと？可愛げの無いヤツ〜」
『そんな後輩を好きになった人に言われたくないです〜！
ってことでまぁ、ゆっくり景色見ましょうよ』
壱馬「ったく、都合のいいヤツ」
私たちは遊具の囲いに腰を下ろして、
そこから見える景色を見ていた。
先輩の、壱馬くんの腕に自分の手を絡めて。
壱馬「親が手に入れられなかった幸せ、手に入れてやる」
『うん』
壱馬「俺、卒業したら大学通おうって思って」
『そうな……の？』
壱馬「Aの父さんが、行けって言ってくれた。
あの人の話は聞いた。だから、余計に思った」
『幸せを？』
壱馬「うん。
絶対、誰よりも幸せになってやるって」
壱馬くんは私にしか聞こえない声のトーンで
自分の気持ちを言葉にしてくれた。
壱馬「幸せの天秤って測れるもんでも無いけど、
でも、最終的に俺らが満足してればいいんだから」
『そうね』
壱馬「大学行って、勉強して、バイトして、
親が就けなかった真っ当な職で、普通の幸せを手にする」
『壱馬くんならできるよ』
壱馬「人見知りなとこは直せる気しないけど、
俺にはAが居てくれる」
『ん』
壱馬「それだけで頑張れる気がする。
隣に居てくれてありがとう」
壱馬くんはそう言って花の先っちょで私の頭を撫でた。
それが嬉しかった私は壱馬くんの肩口に鼻をこする。
『どんな距離でも絶対、おかえりって言ってみせる』
壱馬「期待してんで、未来の奥さん」
『気が早いな〜』
私たちはそう戯れながら、
ゆっくり沈んでく夕日と
ポツンポツンと点く夜景を見ていた。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年12月20日 11時
