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I.F SIDE






ただ、ストレスの反動が出たのか、
家に引こもるようになってしまって、外に出られなくなった。




高一の冬手前のこと。










翔平「樹、無理すんなよ。
生きてさえいればどうにかなんだから」




樹「ん」




『それでももう無理、死ぬって思ったら、
最後に連絡だけして。
声も聞けないでサヨナラなんて嫌だから』




樹「ん」




海青「ゆっくりな」




北人「お大事に」




翔吾「いつでも待ってるからな」










仲良い人たちとこうして離れて、
俺は部屋にこもってた。




その間、おばあちゃんと色んな話をして、
たまに二人で出かけたりもした。










「樹もおおきくなったんだねぇ。
おばあちゃん、樹が結婚するまで死ねないなぁ」




樹「気が早いよ、ばあちゃん」




「はははっ、そうねぇ。
まだ高校生だもんねぇ」










二人でゆったり過ごす時間は苦しくなくて、
ゆっくり、過去の傷を、認めてあげられなかった傷を癒せた。




それから何度かAが手紙付きでプリントをポストに入れてくれて、
俺はそれを解きながら翔平たちの情報を得ていた。




ただ、普通じゃない環境で過ごして、普通じゃない世界を見た俺は、
Aも普通じゃないことに気がついていた。




それでも強く生きようとするAが、
俺はいつの日か好きになってた。




ただAが好きな人は北人さんと翔吾さんの親友。


その人もAのことが好き。だけどその人も普通じゃない。
だから、最初から俺に入る余地なんてどこにも無い。



ただ、ただ、Aの幸せと未来を近くで見れたら良い。
そう思ってたら、色々不幸がのしかかったけど、
俺はそんな苦境の中でも生きようとするAを助けたくて、
支えることしかできなかったけど、
Aの涙を見て俺は少し安心してた。





それから年が明けた、ある日の報告で。










『どうにか付き合えたから。
今まで心配かけてすみませんでした』




壱馬「ごめんな」










二人が寄り添っていく未来が見えた俺は、
絶対に親友のポジションだけは誰にも譲れないって思った。





ただ幸せでいてくれればそれでいい。



そう思った俺はAに幸せか聞いて、
幸せって返ってきて、思わずAを抱きしめた。










樹(言えなかったけど、好きだったよ、A)










これで最後にするから、
俺は自分の本音を隠してAの背中を押した。





それくらい好きだったんだ。

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年12月20日 11時

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