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H.Y side
壱馬の謝罪と、壱馬の抱きしめる力に、
俺は涙がこぼれた。
その温もりが苦しくなる。
北人「かずま」
壱馬「ん?」
北人「……弱音吐いていい?」
壱馬「ええよ」
北人「……宮崎帰りたい」
壱馬「……っ」
北人「兄ちゃんが、言ってたんだ。
どんな時も、空だけは繋がってるからって」
壱馬「ん」
北人「死んだばあちゃんにも、会いたい」
壱馬「……」
北人「兄ちゃんにも、会いたい……」
情けない俺の本音に、
壱馬は何も言わないでずっと抱きしめ続けてくれた。
それがどれだけ嬉しかったと思う?
壱馬「ほく、」
北人「ん?」
壱馬「弱くていいよ。
強くあろうとしなくていい」
北人「っ」
壱馬「Aも、俺も、翔吾も、樹だって、
近くにおるから」
北人「俺、周りに沢山人居るんだもんね」
壱馬「そやで。
それを北人が俺らに教えてくれた」
北人「ははっ」
俺は泣きそうになった。
いや元から泣いてるけども。
北人「あのね壱馬」
壱馬「ん?」
北人「……お兄ちゃんに会いたい」
壱馬「ん」
北人「宮崎帰りたい」
壱馬「ん」
北人「なんで俺ら、母さんにも、父さんにも愛されなかったの?」
壱馬「ん」
北人「俺ら、何かしたの?」
壱馬「……」
北人「俺も、壱馬も、Aも、
みんな、ただ生まれてきただけじゃん」
北人「それの何がいけなかったの」
壱馬と二人だからかな。
次々と本音が漏れてしまった。
本当に普段、愚痴をこぼさないクセして、
こうやって爆発した自分をどこか他人事に見ていた。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年12月20日 11時