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『私は、身体中傷まみれです』










私は一番最初に負った傷の跡がある
左胸を右手でさすった。




このことを話すことは勇気がある。




それでも先輩も勇気を出したように、
私自身も勇気を出す。




先輩が私を愛してくれるからこそ。










『ここに、母親のお客さんにつけられた跡があります。
アイロンを押し付けられました』



壱馬「……」



『まだ六歳の時です。
病院に運ばれることはありませんでした』



壱馬「なんでか、知ってるん?」



『知ってます。
私の保険証を持ってなかったからです』



壱馬「保険証って……」



『社会保険、国民保険。
行政サービスへ事情を説明したら、
数日限定の保険証だって貰えます』



壱馬「……」



『それでも、母を含む周りの大人は気にかけなかった。
次につけられた跡は背中の根性焼きです』



壱馬「っ」



『きっと誰も知りません。
私がそんなことをされてたなんて』










世間一般で見れば、これはただの親の自己満だ。




そんなくだらない事のために生まれてしまった。










壱馬「まさか、北人を庇った理由って」



『私は親になにかされることは慣れてる。
だから北人くんを守りたかった』










『いや違うか。違うな。
私のことを認めてくれたあの人に傷ついて欲しくなかった』










『どうして誰も私を認めてくれなかったのか。
そんなの案外単純で、私は望まれない子供だったのと同時に、
小学六年生まで私の戸籍はありませんでした』










先輩は驚いていた。



そりゃそうだ、
こんな事実に驚かない方がおかしい。






みんな、抱えてるものも背負ってるものも違うのだから。

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年12月20日 11時

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