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力矢「こちらカフェラテです、ごゆっくり」










力矢さんはそう言ってカウンターに戻って行った。




奥の座席には私たち二人だけ。




だからこそ、緊張が走る。










壱馬「本当は俺な、誰かと話すの得意じゃないんよ。
人見知り云々以前に、誰かが壊れる姿を見るのが、
離れていくその背中を見るんが嫌だから」










壱馬「俺は話すのが苦手すぎて、親に甘えきってたら、
父さんが家を出てった。

今まで家を守ってたんが父さんだったから、
父さんが居ない今、俺が母さんを守らなあかんって思って、
空手だって始めた」










壱馬「部活もやってたら、何とか話せるようにはなった。
それから中学になったある日、夜中に違和感があった。
母さんが俺の上に乗ってた」










壱馬「知識はあった。けど、実際に体験すると、
快感や幸福感よりも先に恐怖の方が強かった。
全て事が終わって、母さんに言われた」










「あんたが家を壊した」










壱馬「その言葉を真に受けた俺は、
母さんが父さんのことを思っとったんは知ってたから、
この人に逆らったらダメなんだ。

そう思うようになった」










壱馬「多い時に週五、親子で関係を持った。
周りがそういう話をする度に吐き気が出てきたりとか、
周りが感覚を共有しあってる中、俺には虚しさしか無かった」










壱馬「高校生になってもそれは変わらんかった。
けどある日、保健の授業の時やったんだけど、
思わず嘔吐してしまったんよ」










壱馬「この行為が意味することを、中学よりも深く理解して、
もしもが来てしまったらとか、
そんなん考えてたら気持ち悪くなった」










壱馬「そんな俺の様子に疑問に思ったんやろうな。
臣さんがすんげぇ観察してくるようになって、
初めて俺が母さんと関係を持ってることを知られたんや」










壱馬「でも、あの人はそれを頭ごなしに説教してこなくて、
臣さんたちと話してると、やっぱこの関係って変なんだな。
そう思った瞬間、助けてくれた母さんすら気持ち悪くなった」










壱馬「それから俺は、臣さんに言ったんだ。」










「助けて欲しい、この関係を終わりにしたい」










「俺を、殺して欲しい」





















壱馬「その日の晩だった。
臣さんが家にやって来たのは」










壱馬「母さんが寝静まった後、
臣さんが家中にカメラを仕掛けてくれた。
けど、今度はそれが、あの人の人生を狂わせた」

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年12月20日 11時

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