検索窓
今日:23 hit、昨日:33 hit、合計:44,034 hit

76 ページ26

K.K side








広臣「14分55秒。
ギリギリだな、壱馬」










臣さんがコーヒーを飲みながら俺を見て笑った。




どうしても会いたかった。


それがまさか今日だなんて思ってなかったけど。










広臣「間に合ったから許してやる。
座れよ、ここに」



壱馬「失礼します…」



広臣「そう緊張すんなって」










この人と会う時はいつも緊張する。




あの日から、ずっと。










広臣「で、用ってなんだよ」



壱馬「俺、あなたに許されないことをしてきたと思います。
助けてくれたのに、母を第一に考えてたから、
恩人であるはずの臣さんに辛く当たってた」



広臣「そう言うもんだろ。
たった一人の母親を、ガキの壱馬がたった一人で、
何を犠牲にしてでも守ろうとしてたんだから」



壱馬「今回の件で、みんなに言われました。
「壱馬は独りじゃない、地獄だろうがみんな一緒だ」って」



広臣「ほーん」










臣さんはただ優しく笑って頷いてくれるだけ。



この人は前からそうだ。




そういう人だ。




だからこそ、あの時の自分はこの人に話したんだと思う。










壱馬「俺は、愛されてなかったとは思いません。
アルバムを見返して、そう実感しました。
特に、北人なんかが居るとより一層感じました」



広臣「大変だったらしいな、北人」



壱馬「……親に追い込まれて絶縁してまで離れた北人。
あいつは自分の心に答えを見つけられて凄いと思います。

だからこそ、今度は自分の番だと思いました」



広臣「お前の答えはどうなんだ?」



壱馬「自分の何もかもを犠牲にしてでも守りたい、救いたい。
そう感じて育ってたからこそ、今度こそ真っ当に誰かを守りたい。

そう思いました」










テーブルのメニュー表から顔を上げて臣さんを見ると、
優しい眼差しで見ててくれて、その顔は笑ってた。





俺には兄弟は居ないけど、
兄貴が居たらこんななのかなって思える表情だった。

77→←75



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (78 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
402人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雪乃 | 作成日時:2023年12月20日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。