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冷たい視線に見つめられて動けなくなった。
まるで、金縛りにあったみたいに。
そんな時だった。
北人「ただいまー!
ごめんね遅くなって!」
壱馬「……おかえり」
『あ、おかえりなさい』
北人「ん?もしかしてお邪魔だった?」
首を傾げた北人くんを見て我に返った。
凄く距離が近かったことに。
『っわっ!』
壱馬「っと」
北人「ちょ、大丈夫!?」
動揺した私は一気に距離を取ろうとして退いた時
右手で空を切ってしまい、
先輩が手を伸ばしてくれたけど、
そのまま床に落下した。
壱馬「ギリセーフ、頭は打ってない」
『っ、すいません!』
北人「ははっ、可愛いとこあんね」
先輩が腕を捕まえてくれたから
尻もちついた程度で済んでるんだけれど
普通に恥ずかしい。
ふと顔を上げると、
さっきみたいな冷たい目は無くて。
北人「大丈夫?」
『あ、はい。
大丈夫、です、うん』
壱馬「ホンマに大丈夫?」
『はい……。
あの私、部屋戻っときますね』
そそくさと私は自室に退散した。
明日は土曜日だけど、
三人揃って明日は部活がある。
部活の用意を終えると
そそくさとベッドに潜り込んだ。
この時の私は知らなかった。
どうして先輩が家まで送ってくれて
北人くんの帰りが遅かったのかを。
どうして先輩が泊まったのかも。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時