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K.K side






移植された腎臓の拒否反応も無く、
俺は無事に退院になった。




ただ、










医師「壱馬くん、体のことはもう大丈夫なんだけれど、
精神科の受診を薦めるよ」



壱馬「……」



医師「お母さんの件、残念だと思う。
ただね、昔からお母さんしか頼れる人が居なかったって言うのは、
大人の悪いことに巻き込まれた子供の典型的な心の傷だ。
だから、今回何回か鎮静剤を処置したりもした。
それだけじゃないにしても、壱馬くんは誰かに頼るの苦手だ。
少しでもいいから、話してみない?」



壱馬「俺、話すの苦手なんです。
けど、今回話せる人居るんで」



医師「本当?」



壱馬「はい」



医師「陸くん、壱馬くんのこと、しっかり見てあげて」



陸「任せてください。
僕にとっても可愛い後輩なんで」










退院の日、ド平日ってのもあって、
迎えには陸さんが来てくれた。



この人は、ここ最近すげぇくらい迷惑しかかけてないのだけれど、
毎日毎日しつこいくらい電話寄越してきて、
ようやく受け入れられた。










陸「お世話になりました。
ほら、壱馬も」



壱馬「ありがとうございました」



医師「また気持ち悪くなったりしたらすぐおいで。
抱え込みすぎないようにね」










病棟のエレベーターで先生たちと別れると、
支払い窓口で事務員さんと陸さんが会話してたけど、
支払いは誰かさんが済ませてたって。




そのことに俺は舌打ちしてしまったけど、
陸さんは行こうかって優しく手を引いてくれた。










陸「落ち着くまで俺の家に居な?
部屋余ってるし」



壱馬「前の家には、帰れないんすか?」



陸「あそこね、この前立ち寄ったけど、
しばらくの間は無理って言ってたよ」



壱馬「そうっすか」










陸さんの運転で俺らは陸さんの家に着いた。




豪邸ってわけじゃないけど、
陸さんの家もまぁまぁ広くて。










陸「ただいま〜」



壱馬「お邪魔します…」



陸「母さんたち普段帰ってこないから、
壱馬は気にしないで家の中居ていいよ」



壱馬「……」



陸「ただ、一度だけ敬浩先生が面談で顔を出したいって。
それは、壱馬の精神状態にも寄るって言ってくれてる。
一週間以内に返事くれって言ってたから、
ギリギリまで悩んでみて」










その言葉に頷いた俺に、
陸さんはいつものように優しく微笑んでくれた。

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時

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