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部屋で目が覚めた。




ここまで来た記憶が無いし
なんなら着替えた記憶も無いのだけど。





果たして着替えさせたのは誰なのか置いとくとして。



私が部屋を出てリビングに向かうと、
そこでは北人くんがまた誰かと電話していた。










北人「さっきから言ってるけど、
昔から俺は言う通りに動いてきたじゃんか。
何で認めてくれないの?兄貴もいるじゃん」










きっとお母さんだと思う。




ここ最近、みんなが荒れに荒れてる。




同時に、何もかもが崩れてる。





私は頭を抱えて、壁伝いで座り込んだ。





なぜか、やるせない恐怖が込み上げてきて、
全身が震えてるのが分かる。










『もういやだ……』










声まで震えて、指先まで震えて。




私は咄嗟の吐き気にトイレに駆け込んだ。










北人「A?
A!大丈夫?」



『っ!』










電話中だったはずなのに、
私の足音に気づいたのか隣に北人くんが来て
背中をさすってくれてた。




吐き気が落ち着いた頃、
私は何からの涙なのか分からなくて
泣きじゃくってしまったのだけれど、
北人くんはそんな私を抱きしめてくれた。




けど、今の私にはそれすら意味が分からなくて。










『辞めてよ!!』



北人「え?」



『北人くんだって辛いのに!
辛いはずなのに、私にばかり気を遣って……!』



北人「…………」



『辛いなら、辛いって、北人くんだって言ってよ!!
私のお母さんとお父さんのせいで、親友が傷ついてるんだよ!?
殺されかけたんだよ!?
巻き込まれてるんだよ!?』



北人「A、落ち着いて」



『何で……なんで誰も責めないの!?』










最低だ私、




こんな自己満足で、




苦しんでる北人くんにまで当たって。










北人「Aは関係無いでしょ」



『え?』



北人「壱馬を殺しかけたのは、Aじゃない。
Aを産んだお母さんとお父さん。
Aが二人に壱馬を殺すように仕向けたの?」



『ち、がう』



北人「知ってたの?
二人が壱馬を殺そうとしてたのを」



『違うっ』



北人「ならそれでいいじゃん。
Aは、壱馬を殺そうとしたことに関係無い。
だから、誰も責めない」










北人「同時に色んなことが起きてビックリしちゃったね。
気づいてあげられなくてごめんね」










そう言って優しく抱きしめてくれた。




私が欲しいのは、その言葉じゃないのに。
弱い私は泣くしかなかった。

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時

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