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K.K side









移植された。




あの人から。




それだけで、怒りが身体中に回っていく。
のにも関わらず、その人は病室のドアのところに立ってて。










広臣「壱馬、状態はどうだ?」



壱馬「おかげさまで」



広臣「ははっ、素直に感謝言えっつーの」



壱馬「二度も家族を壊した人に、二度も助けられる皮肉ですよ。
こんな思いするくらいなら、死ねば良かったんだ」










壱馬「そしたら、母さんたちのことを、
Aを巻き込んだことを知らなくて済んだのに!!」





広臣「それが本音か?」










俺に移植してくれた人が登坂広臣じゃなければ、
少しは元気だったかもしれないけれど。





でも、家族を壊したこの人が、俺を生かしたそう思うだけで
物凄く吐き気がする。










俺は話すことをやめて、窓の外を見たまま黙ってた。




それでもその人は黙ることを知らないかのように喋る。










広臣「医者が言ってたぞ。
本当は死んでもおかしくなかったって」



壱馬「…………」



広臣「あれだけ強い毒薬を飲んで、腎臓がやられてでも生きてる。
そう願ってのは間違いなく、壱馬自身だって」



壱馬「…………」



広臣「俺はお前に、壱馬に恨まれてもいい。
それでも、俺は、壱馬が生きててくれて、嬉しいよ」



壱馬「…………」









この人はそう言って、部屋を出ていった。





まるで、俺の涙に気づいてるみたいに。










壱馬「っ、なんなんだよ……。
なんなんだよ!!!」










俺の心と、頭が違うことを考えてて、
コントロールしようのない感情が身体中を動き回る。








その瞬間俺はここが病院だということも忘れて、






いや、分かってはいたのだけれど、
それでも、身体中で暴れ回る感情を抑えられなくて、










看護師「壱馬くんどうしたの!?」



看護師「急いで先生呼んで!!」



看護師「男性陣呼んで!!」










壱馬「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」










喉が焼けるくらいに叫んで、





腕に刺さったままの点滴の針を抜き取って、





近くにあるものを全部投げて暴れ回った。










医師「鎮静剤用意して!!」



看護師「落ち着いて壱馬くん!」










周りがザワついて少しして、



鎮静剤を打たれた俺は、そのまま意識を手放した。

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時

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