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学校が終わった私たちは、部活に行くのだけど。
まぁ絡まれるわけですよ。
「ねぇ川村先輩がクスリやったって聞いたけどあんたも?」
「しかもそのクスリの元がAのお母さんっても聞いたけど」
「えーまじー?」
「ははっ、やべぇのやべぇの」
部活の人たちは分かってて絡んでくる。
これらの情報がどこから出回ってるのかは知らない。
けど、訂正したい部分がある。
『別に私の親のこととかはなんて言おうといいけど、
真実も知りもしないで人の良くない噂に踊らされると、
訴えられても文句言えないからね?』
「は、はぁ?」
『名誉毀損にも程がある。
先輩はクスリをやった訳じゃない。
大麻とかそれらでも無いんだから、兎や角言うのはやめて』
「なんなのよ、あんた」
『どうせ私が知らないって言っても、
色々揉めてしまったことは事実なのも知ってるだろうから言うけど。
先輩は、あと少しで死ぬとこだった。殺されるとこだった。
心肺停止にもなってたし、意識回復までにも時間はかかった。
なんなら内臓に障害だって残ってしまった。
それを知りもしない噂で左右されて言葉にして。
今までの先輩の何を見てたの?』
「っ」
ここまで私が強く言うのは初めてだった。
でもそれくらい先輩を悪く言われたくなかった。
あれほどまでに優しさの塊のあの人を、悪く言って欲しくない。
『あなたたち、よく言うでしょ。
門限で親と揉めたとか、親の小言がウザイとか。
それと同じなだけで、子供は親を選べないだけで、
何が悪いの?』
私が興奮し切ってたその時。
背後から白い手が伸びてきて、私の目を覆ってた。
「みんなごめんね、驚かせて」
「っ、吉野先輩!藤原くんっ」
北人「普段強く言う子じゃないから驚かせたね。
A、少し落ち着こうか」
樹「もう大丈夫だよ。俺らが来たから」
私は見えないけど、北人くんと樹が来てくれた。
それだけで安心した私は、体の力が抜けて。
北人「っと」
樹「あんまり興奮することないけど、
最近色々あってA自身体に限界来てるんだ。
ごめんだけど、今回の件、Aに聞くのは金輪際辞めてほしい」
「え、なんで?」
樹「傷口抉ってることに気づけつってんだよ」
普段声を荒げない樹に、
周りの雰囲気が変わるのを肌で感じた。
それほど、樹が怒ってる。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時