43 ページ43
私も北人くんも翌日には学校も、部活もある。
だけど、眠れる状況でも無くて。
北人「Aは、どうしたい?」
『どうしたいって……』
北人「……壱馬にさっき連絡は入れた。
けど、今の壱馬は返信するのにもだいぶ時間がかかるから」
『先輩の状態、そんなに悪いんですか?』
北人「……心がね」
北人くんはソファーの肘置きに凭れて、
どこを見てるのか分からない表情を浮かべていた。
北人「壱馬は元々明るい性格でもないらしいし、
本来の壱馬ってのを、俺も翔吾も知らない。
けど、ふとした時に片鱗が見えるんだ」
『あ、確かに。
たまに、雰囲気変わりますよね』
北人「前々から、そういう時は関わらないでって言われてた。
だから俺らも関わろうとしなかったんだけど、
そういう時の壱馬ってさ、いつ死のうとするか分からなくて、
俺も翔吾も注意深く見てたんだよね」
『そう、だったんですね』
北人「今回は色々事が重なって、
壱馬自身、ストレス凄かっただろうから、
正直想像もできてたし、分かってたことだからいいけど」
こうして分かってくれる人が隣に居てくれる。
それがどれだけ嬉しいんだろう。
兄弟も親友も居ない私には無いものだ。
そう思ってると、北人くんが頭を撫でてきて。
北人「また難しいこと考えてるでしょ?
Aには、壱馬と樹が居んじゃん」
『え、けど……』
北人「案外、見てるよ、あの二人。
Aが思ってるよりも、Aは周りに愛されてる。
だから、心配しないの。
それに、俺だってAのこと大好きだからね」
北人くんはそう言って抱きしめてくれた。
その温もりに、思わず涙が零れそうだったけど
どうにか堪えて、北人くんの背中に手を回した。
『私も、北人くんのこと、大好きだから。
救えるかは分からないけど、いつでも話は聞くからね』
北人「うん、ありがとう」
私たちは体を離して笑い合ってると、
ゆっくりと空が明るくなってるのに気がついた。
北人「朝が来たね」
『うん』
これからの事を、話さないといけない。
301人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時