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H.Y side








Aが手術室に運ばれた。




それを見届けた俺たち。


そんな時、車椅子に乗ってた壱馬が俺の胸倉を掴んで
後ろの壁に押付けた。










翔吾「壱馬やめぇや!」



陸「壱馬!」










最近まで意識不明の重体だったってのに
どこにそんな力があるんだか。



って、客観的に見てて。










壱馬「お前、知ってたんか。
あの男が、Aの実の父親だってこと」



北人「……親戚だもん、知ってない方がおかしいでしょ」



壱馬「別に俺が苦しむのはいい。
けど、なんであの子まで……」



北人「Aのお父さんは、
Aが生まれるずっと前に家を出てて、
写真でしか見たことないのは事実。

今の父親は、母親の再婚相手だから、
極力俺らと関わることは無いように向こうが家から離れてる。

けど、壱馬のお母さんと、Aのお母さんは似てる。

一番愛した相手がその人ってだけだった」



壱馬「は?」



北人「Aのお母さんは、薬剤師の資格を持ってる」



翔吾「それって……」










Aのお父さんはAを知らないかもしれない。
けど、Aは違う。



あの人と会うことないと思ってたから
対応が遅れてしまった。




知らなくていいことを、あの子と壱馬は知ってしまった。




俺一人で墓場まで持っていこうと思ってたことを
二人が同時に知ってしまった。










北人「Aのお母さんは知ってるんだよ。
あの人が自分以外の家族に手を出してたことを」



壱馬「っ……お前、俺らを殺そうとしたんか」



北人「そんなつもりは無かった。
ただ、知らない方が幸せなことも世の中にはある。

だから、俺一人が墓場まで持っていくつもりで」



壱馬「その事をあいつが知って、
隠されたことを喜ぶとでも思ってんのか!?」



陸「壱馬、壱馬落ち着いて」










壱馬「お前が、何かを先に言ってくれれば
あの子はこうならんかったやろ!!!」










陸「壱馬!!!」



壱馬「っ、ほく、と……。
ほく、ごめん」










俺から手を離して謝り倒す壱馬と、




崩れ落ちた壱馬に駆け寄る陸さんと翔吾。






俺は一人壁を伝って崩れ落ちてて。










樹「っ、はぁはぁ、北人さん!」










いつの間にか駆けつけてくれた樹に気づけなかった。

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時

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