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挿管はされてないで、点滴に繋がれている先輩。
私は、パイプ椅子に座って先輩の寝顔を見つめていた。
北人くんは先輩が使うかもしれないタオルとかそれらを
棚に詰め込んでいて、整理してた。
自慢じゃないけど、整理整頓なら北人くんの方が得意。
翔吾「壱馬、今日はAも来てくれたで。
勇気出してくれたんよ」
北人「そうだねぇ、ずっとチキってたから」
『言い方酷くない？』
北人「だってこうしてじゃないと来なかったでしょ？」
『え、まさか言わせたの？
先生たちに』
翔吾「それは結構ガチめに違う」
ハッキリ断言されて、私は笑っていた。
北人くんは笑いながら隣に座って、
先輩の手を握った。
北人「壱馬、俺は、ずっと味方だからね。
相棒だからね、壱馬」
翔吾「俺もやで、壱馬。
独りで、遠くに行かんといてや」
二人の目には、涙が浮かんでいた。
それはそうだろう。
親友がベッドの上で一人、目を覚まさないのだから。
先輩が入院してる病院は、
他の部員たちには知らせていないらしくて、
知ってる人はごく一部の人だけ。
登坂先生の助言らしい。
こういう時こそ、
先輩が気を許してる人だけにしとけって。
誰よりも、先輩のことを理解してる。
理解してるからこそ、生まれた距離ってのもあるのかもしれない。
二人の過去に、何があったのか私は知らないし
先輩が自ら話す気になるまで、聞くつもりもない。
聞いたところで、私に何かできることは無い。
それは、先輩の過去だってそう。
北人「壱馬、早く目を覚ましてね」
翔吾「みんなで待ってるで」
･
･
私はただ、三人の様子を見て、
懐かしい感情を思い出した。
･
･
私って、どこに居ても独りなんだな。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年11月26日 6時
