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K.K side
ある日、田崎先生が病室にやって来た。
担任は今回関与してないこともあって
学校長が田崎先生を担当にしたって言ってた。
表向きは。
本当は田崎先生が、俺のことを知ってるから
担当になっただけなのも知ってる。
それに気づかないほど俺も馬鹿じゃない。
敬浩「それで本題だけど」
壱馬「はい」
敬浩「壱馬、母親が逮捕される」
壱馬「っ」
敬浩「幼少期の頃からの境遇は、どんな経緯であれど
虐 待になってしまうのは、壱馬自身が分かるだろ」
壱馬「けど、母さんは……精神疾患で」
敬浩「自供したよ」
壱馬「っ」
田崎先生の言葉に、俺は涙も出なかった。
ショックなのはショックだけど、
自分でもどこか、分かってたことだった。
敬浩「ある奴が、ちゃんと話した。
結果、何もかもを自供した」
壱馬「かあさんは、なんていってたんですか……?」
敬浩「まだ子供のお前が聞かなくてもいいことだ。
ただ、逮捕されることだけ分かってれば」
壱馬「俺の家族は、母さんだけなんです。
俺には、母さんしか居ないんです」
敬浩「……」
壱馬「ずっと、分かってたんです。
こんなのおかしいって。
同級生なんか見てたら、余計に感じるじゃないですか。
父親が居ないのも、母親がおかしいのも事実だけど。
でも、俺には、母さんしか居ないんです」
実の父親にすら見捨てられた俺。
それでも、そばに居続けてくれたのは母さんだけだった。
敬浩「ある奴は、そういうだろうからって、
誰よりも壱馬のことを理解してた」
壱馬「理解?」
敬浩「壱馬、きっと誰かは
真っ当にお前のことを愛してる奴がいるよ。
俺だってそう。北人や翔吾。Aだって。
皆、お前のことが大事だから、
搬送されたって聞いて、Aはお招会抜けてでも
駆けつけてくれたんだ」
壱馬「Aが……」
俺は布団を握りしめてた。
またあの子に要らない責任を負わせてしまった。
そう考えた瞬間、
俺の何かが崩れる音がした。
敬浩「壱馬?」
壱馬「っ」
ここから先の記憶は無い。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時