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朝起きると、北人くんと先輩が客間で寝てた。




仲良しかよって思った。仲良しだけど。










『ぁ……母さん』



母「おはようA」



『おはようございます……』



母「私もう出なきゃだから」



『……ん』



母「あ、お父さん帰ってきたりはしてる?」



『ごめん、わかんない……』



母「そう、まぁいいわ。
じゃ、私行くね。またしばらく帰って来れないと思うから。
北人と仲良くね」



『うん』



母「大好きよA」



『……行ってらっしゃい』



母「行ってきます」










嫌な匂いだ。





タバコと、酒と、香水が混ざった匂い。




その匂いを嗅ぎたくなくて、
私は急いで窓を開けて、換気扇を回した。










『っ……』










キッチンの棚に凭れながら座り込む私。




どうか、この匂いが消えるまで
二人が起きないことだけを願って、目を閉じた。










┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈











北人「A、A!」



『っ』



壱馬「あ、目覚ましたで」










声が聞こえて目を開けると、
北人くんと先輩が心配そうに私を覗き込んでた。




前後の記憶が無い。










『わたし、なんで……』



北人「それはこっちのセリフだよ。
起きたらAがそこで寝てるし、窓は開いてるし」



『ま、ど……?
あっ』



北人「え、何?」



『におい、もうしない?』



北人「っ……」



壱馬「……もうしないで」










目を見開く北人くんと、頷く先輩。



その一言で、私は胸を撫で下ろした。










北人「A、今日の部活は休みな」



『え、でも』



北人「きっと今日は上手くいかない。
だから、無理しないでゆっくり休んで」



『……ひとりに、なっちゃう?』



北人「……ならないよ。
今日は俺も休むから、ね?」



『……』










北人くんは優しく微笑んでくれた。




先輩も私の手を握りながら頷いてくれて、
気の抜けた私は涙を堪えながら頷くことしかできなかった。















今日も私は、弱いまま。















.

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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年11月26日 6時

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