【暗殺教室】面白い生徒 (ページ42)

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42話ページ42

沖縄から帰ってきたA。

あの後、肝試しやら何やらあったらしいが、Aがぼーっとしている間に終わっていて。

今もぼーっと歩いている内に帰宅してしまった。

はぁ、とため息を吐くと、極力物音を立てないように入っていった。

──────────

それからスマホには殺せんせーから何度か連絡が入っている。

だが、Aは全てを無視して、去年から世話になっている開店前のバーに身を潜めていた。

「スマホ、鳴ってるけど大丈夫なの？」

「……」

Aは声をかけられてようやくスマホに手を伸ばした。

(……くだらな)

しかし内容はとても下らないもので。

Aはため息を吐いて、スマホの電源を切った。

「あら、そこまでなのね」

「……」

Aは紙に文字を書くと、バーテンダーに投げた。

「夏祭りの誘いって……」

「……」

「あらあら、良いじゃないの！
担任の先生から誘われるってのが癪かもしれないけど」

「……」

「残り僅かな中学生人生、楽しんだら？」

絶対無理！と首を振ると、バーテンダーは笑った。

「勿体ないわね」

「……」

「まあいいわ」

バーテンダーはそれだけ言うと、仕込みをしながら世間話を聞いていた。

Aもタンブラーグラスに入れられた緑茶を飲みながら話を聞く。

そんな時だった、パソコンにメールが入ったのは。

(あいつ……)

「どうしたの？」

再び紙に文字を書く。

それを受け取ったバーテンダーは、Aを見た。

「兄からメールって……」

(普段やり取りしてないのを知られているから、こそ……だけど)

「なんてメールなの？」

Aはそれをクリックしてバーテンダーにも見せた。

(…………ただ帰ってこい、ってだけ)

「……帰れる？」

(帰れるには帰れるけど、帰りたくないなぁ)

Aはため息を吐いて背凭れに倒れ込む。

行きたくないが、行かねばならない。

「……何かあれば、逃げてらっしゃい。
匿ってあげるわ」

「……」

Aは頷くと、パソコンを片付けて、電源を落としたスマホを起動すると荷物を持ってバーを後にした。

(外は、眩しいな……)

まだ八月。

外は太陽で暑く、眩しかった。