【暗殺教室】面白い生徒 (ページ34)

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34話ページ34

駅までの帰り道、ほとんどカルマが一方的に話していたが、ふとした時問いかけた。

「話さなくなった理由は聞かないけれど、いつから話さなくなったの？」

Aは三本の指を立てた。

カルマはそれを見て首を傾げる。

「三年前？」

首を横に振る。

「ってことは小三？」

頷いた。

それでカルマは納得した。

「確かにそりゃ話す時に喉痛くなるわ……。声帯がほとんど機能しないんだもん。
ねぇ、人前でご飯食べない理由もそれ？」

当てられたAは頷くしかない。

「人って話さなくなると一気に声帯が脆くなって、喉の筋肉が弱くなるんだって」

それくらいAは知っている。

むしろそうなるよう長い間願ってきた。

【よく分かりますね】

「調べた。
知らないより知ってた方がお互い良いから」

カルマはAの頭を撫でた。

「前はそうだったかもしれない。
けど今は、ひとりじゃないからね」

Aは立ち止まった。

釣られてカルマも立ち止まり、Aを見る。

(ひとりじゃない？
今も昔も私は一人。味方なんて家族でも友達でも居なかった。
結局私はいつも二番以下、あの人が居たから、あの人がそこに居たから)

Aは震える手を握りながら過去を思い出す。

いつもそこに立っていたのはたった一人の兄。

その向こうには父が立っている。

家族仲は決して良くない。父と兄、母と自分、兄と自分。

【人間は、生まれて死ぬまで繋がりはあれど、最期は一人】

Aは音声読み取り機能に読ませた。

その一文を聞いたカルマは笑う。

「俺、今はって言ったよ」

【関係無い】

「いやあるよ。
若月さん、俺は若月さんの味方だからね。相手が誰でも」

【それが、＿＿＿でも？】

Aが尋ねた一言にカルマは驚いた。

なぜここでその人物が出てくるのか分からない。

だが、カルマからしたら関係無い。

「もちろん。
俺や殺せんせー、きっとE組の生徒は、若月さんの味方だよ」

そう言い切ったカルマに、Aはマスク越しで気づかないくらいに笑った。

＿＿＿＿E組。それは、エンドのE組り

＿＿＿＿しかし、このクラスは暗殺を通して、繋がっていく人の縁。

＿＿＿＿共に苦行を乗り越える仲間が周りに居る。

＿＿＿＿一人で不可能なことが、多数なら乗り越えられる。