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北人「うみだー！！」
『濡れないでよ〜』
電車を乗り継いで海に着いた。
真っ先に走り出した北人とは対称的に、
壱馬は大人しく広臣と手を繋いだまま。
広臣「岩ちゃん、来てくれるってよ」
壱馬「ほんと？」
広臣「だから、今は北人と遊んで来い」
壱馬「うん」
着込んで寒さ対策をしながら、四人は潮風に当たっていた。
Aはポケットの中から広臣にある写真を渡す。
『これ、見て』
広臣「これ……」
『壱馬のお母さんと、お父さん。
まだ壱馬が赤ちゃんの頃に撮ってるから、
本人は記憶に無いらしいけど』
広臣「この写真どこで……」
『さっき、壱馬が持っててって、家出る前に渡して来た』
その写真の中には、微笑ましい家族の写真。
まだ幼い壱馬と、実の両親。
北人「かずまー！」
壱馬「ほく、まって！」
『あの子たちは、寂しいって思いながらも、頑張って生きてる』
広臣「……」
『私たちに愛してくれる家族はいない。
けど、あの子たちは違った』
北人「これで、こうして……」
壱馬「すなまみれだよ、ほくと」
北人「えっ、やだ〜！とって！？」
壱馬「ちょ、とまってほく……！」
北人「とれた！？」
『あの子たちにはお互いが居る。
私たちみたいに、離れ離れじゃない』
広臣「そうだな」
二人で話し込んでると、
嗅ぎ慣れた香水の香りと、足音がした。
岩田「こうやって見てると、ちゃんと家族だね」
広臣「岩ちゃん」
岩田「どうも」
後輩らしく挨拶をした岩田も、着込んで寒さ対策をしていた。
岩田「出会った頃と皆変わった。
壱馬も少しずつ笑ってくれるし、北人も楽しそうだし、
臣さんもAさんも、雰囲気が丸くなった」
広臣「そんなにかよ」
岩田「うん」
岩田は砂浜に下りると、砂で遊んでいる二人に歩み寄る。
岩田「壱馬、北人！」
北人「あっ！」
壱馬「っ！」
壱馬と北人は砂まみれのまま岩田に駆け寄って、抱きついた。
岩田「壱馬、誕生日おめでとう。
俺たちに出会ってくれてありがとう」
壱馬「……ん」
岩田「北人も、壱馬と一緒に大きくなってくれてありがとう」
北人「うん」
岩田「俺は傍に居続けられないけど、
でも、二人のことをずっと、愛してるよ」
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りこ(プロフ) - お疲れ様でした。まじでこのお話好きすぎて終わりが悲しく感じます。とても良いお話に出会えて良かったです！ (10月9日 20時) (
レス) @page50 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - なんかもう全てが尊く感じる、、、このお話大好きです！！ (10月5日 1時) (レス) @page46 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年8月18日 12時
