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両親が揃って家に来るのは、年に五回も無い。
中学三年になってAにだけ話されたことがある。
母「お父さんとお母さん、会社の近くに二人で住んでる」
『……そうですか』
母「帰れなくてごめんね」
『……お気になさらず。
こっちはこっちで上手くやってますから』
衣食住が用意されてるだけで、十分だった。
Aはその事を広臣に言うことなく、高校生になった。
それからはバイトに明け暮れて、家に帰るのも遅くなった。
それは彼もそうらしく。
広臣「今帰り？」
『うん、そっちも？』
広臣「あぁ」
よそよそしい会話。
二年半一緒に過ごして、これだった。
家でも全く話さないのが続いている。
広臣「どこでバイトしてんの？」
『……この時間なんて、同じじゃない？』
マンションのエレベーターで、遭遇した時間は深夜一時。
どちらも派手な格好をしている。
そしてどちらからも漂うタバコの匂い。
広臣「…………」
『考えてる事は同じみたいだね』
到着を示すベルの音が鳴り、ゆっくりとドアが開いた。
二人はエレベーターから出ると、部屋までの廊下を歩く。
『はい』
広臣「ただいま」
『先シャワー浴びていいよ』
Aは鍵を閉めると、自室に向かった。
極力、誰にもバレたくない仕事。
広臣「シャワー空いたぞ」
『ありがとう』
広臣「この事、あの人たちは知ってんのか？」
『知ってると思う？』
広臣「……これ、バレたら一発退学だぞ」
『それはお互い様。
とんでもない爆弾を抱えてる者同士、生き抜こうじゃん。
片方がバレたら、片方もバレることになるんだからさ』
タオルを抱えてAは脱衣所の扉を閉めた。
残された広臣は、まだ水気の残る髪にタオルを当てて、自室に入った。
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りこ(プロフ) - お疲れ様でした。まじでこのお話好きすぎて終わりが悲しく感じます。とても良いお話に出会えて良かったです！ (10月9日 20時) (
レス) @page50 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - なんかもう全てが尊く感じる、、、このお話大好きです！！ (10月5日 1時) (レス) @page46 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年8月18日 12時
