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北人「んんんんん……」
『で、ここに、これを通して……』
北人「できたぁ！！」
北人は、Aに教えてもらった最後の手順で完成させた。
少し不格好ながらも、それが手作りとしての味である。
北人「……喜んでくれるかな」
『うん、きっと』
北人「へへっ」
『それじゃ渡してこっか』
北人「かずまー！」
ベンチに座って水分補給していた壱馬。
そんな壱馬に北人は完成したものを持って駆け寄った。
壱馬「ほくと？」
北人「かずま、あのね……」
北人は隣にしゃがんだAを見て、Aは頷いた。
そんなAの微笑みを見て北人は思い出す。
･
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壱馬の母親と、北人の父親が再婚した二人。
厳しめの北人の父親が仕事の時、壱馬が登園を渋った時だった。
早い内に母親と離れた北人は、壱馬の母親を本当の母のように慕っていた。
いつも優しく笑っていた壱馬の母親。
そんな母親は、壱馬だけでなく、北人にも愛情を注いでくれた。
壱母「壱馬、北人、」
公園の遊具で遊んでいた壱馬と北人は、母親のところに向かう。
北人「どうしたのー？」
壱馬「……？」
壱母「これ、被って」
北人「わぁ！おはなのだ！」
壱馬「……ありがとう」
北人「ままありがと〜！」
壱馬と北人は、それぞれ母親に被せてもらってお互いを見る。
北人「かわいいね！」
壱馬「ん」
北人「あっ、かずまわらった！
にこー！」
壱馬「……ん」
壱母「似合ってるね」
それでも壱馬の母親は、壱馬の母親。
北人の母親じゃない。
だから、ふとした時の二人の仲に、入れない瞬間を思い出した。
それでも、その時の壱馬の表情が大好きだった。
･
･
･
北人はあの日の壱馬の表情を思い出した。
あの日のやり取りを思い出しながら、北人は意を決して差し出した。
北人「かずま、目つぶって？」
壱馬「ん」
北人「…………良いよ」
ゆっくりと花の冠を乗せた北人。
壱馬はAのスマホを鏡代わりにして自分を確認した。
壱馬「これ……」
北人「にあってるね」
壱馬「っ」
北人が震えながら舌足らずな口調で告げたその言葉。
それは、壱馬の母親が、生前最後に行った公園で、
壱馬に放った言葉だった。
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りこ(プロフ) - お疲れ様でした。まじでこのお話好きすぎて終わりが悲しく感じます。とても良いお話に出会えて良かったです！ (10月9日 20時) (
レス) @page50 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - なんかもう全てが尊く感じる、、、このお話大好きです！！ (10月5日 1時) (レス) @page46 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年8月18日 12時
