23 ページ23
休み時間、Aが中庭で空を見上げていると、
ブーブーと、スマホが震えた。
『はい』
【あ、お世話になっております、壱馬くん北人くんの担任の山下です】
『……はぁ、お世話になってます』
山下【今お時間良いですか？】
『はい、ただ休み時間後少しなので手短に……』
山下【お忙しい中すみません。
実は、…………】
『……はい？』
Aは担任の話を聞くと、顔色を変えて校舎に戻った。
岩田「あれ、先輩？」
『よかった、岩田くん！
広臣、知らない！？』
岩田「踊り場じゃないかな？
どうしたの？」
『っありがとう！！』
岩田「ちょ、Aさん！？」
Aは岩田に言われた通り、人気の無い踊り場に向かう。
するとそこでは広臣と今市が居た。
『居た！！』
今市「あれ、どうしたの？」
『い、広臣起きてる！？』
広臣「うるせぇな、何」
『北人と壱馬が幼稚園から出ていったって！！』
その言葉に広臣は飛び起きて、今市も、追いかけて来た岩田も驚く。
『なんで、電話、出ないかな！』
広臣「悪ぃ……」
『っ、探しに行くから！』
広臣「待て、俺もっ」
広臣も体を起こすと二人揃って走り出した。
その後ろ姿を見て今市と岩田は並んで笑う。
今市「こういう状況で言うのもあれだけどさ、
二人変わったね」
岩田「ですね」
今市「弟くんたちのおかげかな」
岩田「昨日一緒に居ましたけど、二人とも慣れないなりに頑張ってました」
今市「まぁ手のかかる弟は慣れっ子かもね」
岩田「……」
今市「中学の時にあれだけ問題起こした誰かさんがいれば」
岩田「俺の話はもういいでしょー！？」
岩田は今市の手を引いて走り出す。
岩田「ほら、俺らも行きましょ！」
今市「いや、俺顔知らない」
岩田「写真送るから！！」
今市「抜かりないな〜」
こういう状況でもなんだが、今市は全員の事情を知っている。
親友の広臣だけでなく、彼と兄弟のAのことも、
後輩の岩田のことも。
自分は三人みたいに苦労をしていないと感じている今市は、
漸く前に進めるようになったであろう彼らに隠れて、微笑んだ。
今市(皆、前に進めるといいね)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りこ(プロフ) - お疲れ様でした。まじでこのお話好きすぎて終わりが悲しく感じます。とても良いお話に出会えて良かったです！ (10月9日 20時) (
レス) @page50 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - なんかもう全てが尊く感じる、、、このお話大好きです！！ (10月5日 1時) (レス) @page46 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪乃 | 作成日時：2023年8月18日 12時
