20 ページ20
広臣「ただいま」
俺が帰ってきたのは夜中の一時。
体育祭の準備の後、俺は普通に仕事があるから。
風呂に入ってあれこれの匂いを落としてから、リビングについた。
広臣「なんで岩ちゃんが」
岩田「おかえり臣さん」
リビングの寝床には岩ちゃんが居て。
その横で壱馬と北人が寝てた。
Aも横で布団を頭まで被って寝てた。
岩田「どうしても二人が可愛がってる弟たちが見たくて」
広臣「……」
岩田「あれだけ話さなかった二人が仲良く歩くんだもん。
気になるに決まってるでしょ」
たま〜に生意気になる岩ちゃん。
訂正、たま〜にじゃない、こいつはずっとだ。
岩田「臣さん」
広臣「ん？」
岩田「壱馬くん、今日ずっと臣さんに会いたいって言ってたよ」
俺は二人の頭を撫でられる場所にしゃがむ。
岩田「Aさんが動く度に反応して、横に座ったら安堵して。
ずっと目で追ってた」
広臣「……」
岩田「さっきまで、Aさん泣いてたんだよ」
その言葉に俺は手を止めた。
岩田「小さい頃の自分を見てるみたいだったって」
広臣「……」
岩田「徐々に帰って来なくなった親を追ってた頃を思い出す、って」
家族のことで、少なからずとも俺もAも、心に傷を負っている。
また家庭環境の違いでも、岩ちゃんだって傷を抱えてる。
急に親に会えなくなった壱馬や北人だって。
ここに居る俺らは誰も、家族を知らない。
血の繋がりが全てじゃないのを、岩ちゃんが身をもって教えてくれた。
岩田「フラッシュバックって、何度も起こると怖くなるよね」
未だに大きな音が苦手な岩ちゃんのその言葉は、
俺の心に重たく響いた。
まだ三日、されど三日。
大人を頼れない俺ら子供に、何が出来るのか。
俺らは何も知らなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りこ(プロフ) - お疲れ様でした。まじでこのお話好きすぎて終わりが悲しく感じます。とても良いお話に出会えて良かったです！ (10月9日 20時) (
レス) @page50 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - なんかもう全てが尊く感じる、、、このお話大好きです！！ (10月5日 1時) (レス) @page46 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪乃 | 作成日時：2023年8月18日 12時
