17 ページ17
Aが中庭の柱に凭れて空を見上げていた。
「なーにボーっとしてるの？先輩」
『……岩田くん』
岩田「お隣良いですか」
『目立つから勘弁』
岩田「ひっどいな〜」
笑いながらAの隣に腰を下ろしたのは一つ下の岩田剛典。
岩田「さっきまでサボって保健室に居たの」
『……』
岩田「たまたま聞いちゃったんだけど、弟できたの？」
『……田崎先生？』
岩田「と小林先生」
思わずため息を吐いた。
岩田「まさか、臣さんとAさんに弟できるとは」
『それ、言いふらさないでね』
岩田「言う相手居ないですって」
『あんた、顔広いから分からないんだよね』
岩田「信用ないなぁ……」
岩田「けど、大丈夫なんです？
これから役員でしょ？」
『誰かさんがどっちかと変わってくれると有難いな〜』
岩田「俺が迎え行こっか？」
『片方はまだしも、片方のストレスやばいから止めて』
誰も数時間前に広臣が同じことを言っていたと思うまい。
『で、何しに来たの？』
岩田「先輩、暇そうだったから声掛けに来た」
自由な後輩に言葉が出なかった。
岩田「ねぇ先輩」
『何？』
岩田「今度さ、会いに行ってもいい？」
『……』
岩田「弟くんたちに」
二人の間に風が吹く。
秋口の冷たい風が。
岩田「先輩たちが、仲良く子供二人と歩いてるの見た」
『朝？』
岩田「うん」
岩田「少し、興味持った」
岩田「あれだけ関わろうとしなかった二人が、笑ってたから」
『よく見てるね』
岩田「だって俺好きなんだもん、先輩二人が。
もちろん隆二先輩もだけど」
『そう』
岩田「俺、ずっと二人見てたから」
『……』
岩田「だから、二人を繋いでくれた子供たちと、会ってみたい」
岩田から空に顔を戻したAは、深く息を吐き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りこ(プロフ) - お疲れ様でした。まじでこのお話好きすぎて終わりが悲しく感じます。とても良いお話に出会えて良かったです！ (10月9日 20時) (
レス) @page50 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - なんかもう全てが尊く感じる、、、このお話大好きです！！ (10月5日 1時) (レス) @page46 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪乃 | 作成日時：2023年8月18日 12時
