五生 ページ6
端的に言おう、品が悪い。
枷のせいで手足が傷付いていれば体もボロボロ。
清潔に見えないし俯いていて大事な顔が見えない。
小さくため息をつけばトントンも同じことを思っていたらしく、少しこちらに傾く。
「よぉニンゲン仕入れられたな、ここ。
商品に対する扱いがなっとらん。」
「元は闇オークションだったようだな。
警備が厳重なこと、場所が分かりにくいことで察した。」
さっさと目当てのものを買って帰りたい。
腕を組んで背もたれにより掛かれば、ぎし、と小さく軋む。
…ここも減点ポイントだな。
トントンも心做しか退屈そうで、ぼうっとステージを見ていた。
そろそろ飽きてきた、と思った頃
「皆様、大変長らくお待たせ致しました。」
司会のその一言で、ざわっ、と会場が湧き上がる。
やっとか。
「さぁ！本日の大目玉！
漆黒の髪に映える紅い瞳！
背は平均より高く、少し肉付きは悪いですが子供の肉でございます！
多少の傷等がありますが品質に問題はございません！
久々に出品することが出来ました、ニンゲンの子です！！」
首の鎖を引かれながら、乱暴に引っ張りだされたその子供。
髪はボサボサ、服も薄汚く、質が悪い。
遠目からでも衰弱していること、怯えていることがわかった。
「…上質だな。」
「勿体ないくらいやわ。
…買い落とすんやろ？」
「勿論だとも。」
上がっていく値段の額に呆れつつ、ステージの子供を見据えた。
すると、目が合った。
こちらを向いている、と言うだけではない。
ハッキリと、あの俺と同じの紅い、レッドスピネルの瞳と目が合ったのだ。
びり、と背に走る感覚にゾクゾクする。
欲しい。
そんな欲を溢れさせながら見つめていれば、トントンの手によって視界を遮られる。
「…あの子死ぬで？見つめすぎや。」
見つめすぎたか、と再度あの子を見れば、くたりと伏していた。
そろそろ買い落とさないと危ないな。
そう思い、右手を軽く上げ、「5億」とだけ言い放つ。
これ以上を積めるやつなんて居ないだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅蓮(プロフ) - 雨さんのお話を読んでて今まで一度も文字化けしてなかったのですが閑話休題の一番最後の言葉でゴリゴリ文字化けしてしまいました...単なるバグなのですかね、直ってほしいですね... (2020年2月15日 22時) (
レス) id: 110da38a3d (このIDを非表示/違反報告)
パピコ2(プロフ) - すごく面白いです、夢主君可愛いです！文字化けについては自分のとこは1回もなってませんので、雨さんの携帯は問題ないのではないでしょうか？ (2020年2月15日 21時) (レス) id: 193fecf580 (このIDを非表示/違反報告)
狐咬(プロフ) - とっても面白くて好きです。ばれんたいの話に一部文字化けがありました此方の不具合なら悪いのですが、確認お願いします。これからも応援してます (2020年2月15日 20時) (レス) id: 36c7a13f9b (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - コメント失礼します。番外編と二十九生に文字化けがありました。こちらはiPhoneですが、もしかしたらこちらの機種の不具合の可能性もありますが、確認をよろしくお願いします (2020年2月8日 1時) (レス) id: fa99c77dd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - なんだろ……スプラトゥーンのイカガール達並に癒される………可愛い…（遺言） (2020年2月1日 20時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨と無知@雨100％ | 作成日時：2020年1月6日 4時
