人生捨てたものじゃないとはよく聞くけど僕は捨てたいわけじゃなかったんです。【人外パロ】

二十六生 ページ27

黒いジャケットと、厚手のパーカーをもそもそと脱いでいく。
ここの気温がそこまで低くないから、この服装は結構暑かった。
灰色のタンクトップ1枚になれば、ぼろぼろになった腕が露出する。
生まれ変わっても反映されるものなんだなぁ…
首周りの煙草を押し付けられた赤黒い丸い後は幾つも残ってるし、切られた傷も、殴られた時に皮膚が裂けた傷も、痣も残ってる。
誰かが息を飲み込んだ音が聞こえた。

「…酷い…」

「想定したことではあったが、ここまでとはな」

「ニンゲンて、平気で他人を虐げられるん…？」

「首周りの跡、あれ多分煙草やね」

「刃物で切られたような跡もある」

瞳に色んな感情が滲み出てるのがわかった。
…あ、おすまんさんはグリーントルマリンだ。
傷跡、と俗に呼ばれるものばかりだから、今はもう痛くもなんともない。
…ただ、見ている上で気持ち悪いし、痛々しい。

「…まずはお風呂が先かもしんないね」

「滲みませんか？こんなに傷があるのに…」

「生傷は殆ど無いよ。
大体がもう跡になってるものだらけ。」

「安心と言うべきか」

「心配と言うべきか」

「痛みはないのか？」

『A君、どこか痛いところは？』

痛いところ…
見ての通り、傷跡はほぼ全部が跡になりかけてるから、痛いものは無い。
…あ、でも、

『…手首と、足首、と、首…』

鉄枷を付けられていた箇所が擦れていたのだ。
痛いと喚く程じゃないが、処置をしておかないと面倒なことになり得る。
背中のような、あまり擦れない所なら平気かもしれないが、関節部分だから、黙っておくのもなぁ、と。

「首、手首足首がそれぞれ痛いようですね」

「掛けられていた時の枷か」

「鉄製は擦れると痛いもんな」

「でも、そんな素振り見せへんかったやろ」

「しかも、なんか言われてから思い出した感じやったぞ」

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