人生捨てたものじゃないとはよく聞くけど僕は捨てたいわけじゃなかったんです。【人外パロ】

二十五生 ページ26

「そう言えば、A君の怪我、まだ応急処置程度しかしてないんだよね」

「なぬ」

「でも言うて神に任せた無いんやけど」

「目の前でおっぱじめそう」

「けだもの」

「俺どんなふうに見られとんの」

「ほも」
「手が早いほも」
「やべぇやつ」
「神様とは思えぬほも」
「お望み通り掘ってあげようか」

テンポの速い会話につい頬が緩む。
いいなぁ、なんて羨ましく思いつつ、内容は分からないけど、その会話に耳を傾ける。

『…えーみーる、さん、』

『どうしました？』

『…読み書きは、まだ出来ないかもしれないですけど…、…言葉を、聞き取れるようになりたいです』

「なんだ天使か」

「なんやいきなり」

「二人の世界に入ってんとちゃうぞ」

にこやかに話していたえーみーるさんが、いきなりすんっ、と真顔になった。
…瞳の色が薄いのもあってか、何だか変な感じがする。
ふと、ふわりと浮遊感と、そのまま持ち運ばれる感覚がした。
ちらりととんとんさんを見上げても、緩く微笑まれるだけ。

「取り敢えず、やることも無いし手当したって。
手ぇ出したら神様やったとしても許さへんからな」

「神様は無償に人の子を愛する存在なんだけども」

手渡し、と言う表現がぴったりだった。
とんとんさんの手からかみさまに、と受け渡された。
えーみーるさん曰く、手当を完璧にできていないから設備が整っている状態で、もう一度手当をするらしい。
別にあまり痛くないんだけど…

「じゃぁ、服脱ごうか。
エミさん、」

「やっぱり下心が」

「ゾム後で医務室来てね」

「俺じゃなくて大先生っす」

「ゾムゥ！！」

『無視していいですよ、Aさん…
上着はどれほど着てます？』

『…えっと…下着も合わせて、3枚ほど…』

『じゃぁ、取り敢えず下着だけ残して脱ぎましょうか』

『それはいいんですけど…
…あの、あそこの皆さん大丈夫なんですか…？』

『気にしてやらなくていいですよ。』

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