人外のおせわ

Cage 5《冷たい二面性》 ページ28

『管理対象の変更？』



朝起きて、部屋に届けられた通達。

表は質素な、どこにでもある茶封筒で、中にあったのは管理対象の変更についての報せ。


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鳥籠番号57 A


今回の管理対象である《寡黙な研究者》について、情報の整合性の乖離が見られた為、管理対象の変更を言い渡す。

次の管理対象は《冷たい二面性》となるため、新しくプロトコルを同封する。
今回の管理対象は暴力性も見られるため、注意するように。



『…また、《冷たい二面性》についての情報が希薄な為、報告書も同封する。必ず提出すること……』



整合性の乖離、暴力性、情報が希薄…。

色々と頭を抱えたくなっては、一度プロトコルに目を通す。



『……《冷たい二面性》

･《冷たい二面性》には暴力性が見られます。管理の際は必ず距離を置くこと。

･体長は1.7m、深い青の髪は長く、後頭部でひとつに纏められています。

･腰に棒状の得物を持ち、近付き過ぎるとそれを管理者に向けてきます……』



まずは距離を置いて観察するだけにとどめろってことなのかもしれない。

いつもより情報が薄いプロトコルにため息を吐き、机に投げるように置く。

プロトコルがあまり信用出来ないのは《寡黙な研究者》で何となく理解した。

それに、B4サイズの紙っぺら一枚で彼らのことが分かるはずもないことは、今までの管理で痛いほど理解した。



〈 管理人コード、バーコードを提示してください 〉


『管理人コード、system2434、鳥籠番号57、Aです』


〈 管理人コード、番号、名前の一致を確認 〉
〈 ゲートが開きます 〉



いつも通り、思い扉が歪な音を立てて開いていく。

鬼が出ようが蛇が出ようが、未来はなるようにしかならない。

とりあえず、距離さえ開けていれば対応はできるはず。

．《長尾景の物語の「僕くん」に対する作者の解釈があります。ご注意ください。》→←．

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