37話 「最終ラウンド(2)」 ページ37
寺坂「うるせぇ、見るなら、あっちだ」
寺坂は震える指で渚を差した。
寺坂「やれ、渚。
死なねぇ範囲でぶっ殺せ！」
その瞬間、渚の気持ちが切り替わった。
だが代わりに寺坂はほとんど自力で動けなくなる。
A「もう動かないで。毒が回る」
Aは寺坂が持っていたリュックからタオルを取り出すと、寺坂の汗を拭う。
見たところ、岡島のように鼻血などは見られない。だが、熱は高い。
A以外、全員が渚の動きを見守る。
だが、渚はせっかくのスタンガンを仕舞って、ナイフを持っていた。
鷹岡曰く予備はあるが、人数分には足りない。
しかしこちらが下手な真似をしたら、それすらも破壊するとのこと。
Aは寺坂の脈を測りながら、渚を見る。
ちょうど蹴り飛ばされて、殴られていた。
速水「勝負にならない…」
菅谷「勝てるわけねぇよ、あんなバケモノ…！」
鷹岡に一撃も与えられないまま、渚はダメージがでかい。
そんな中、鷹岡もナイフを構えた。
茅野「烏間先生、もう撃ってください！
渚が死んじゃうよあんなの！」
寺坂「待て、手出しすんじゃねぇ！」
業「っ……まだ放っておけって？寺坂ァ。
そろそろ俺も参戦したいんだけど」
寺坂「カルマ、てめぇは練習サボってばっかで知らねぇだろうけどよ、渚のやつ、まだ何か隠し玉持ってるようだぜ…？」
寺坂に言われて、Aも渚に目を向けた。
その時の渚の表情は、あの時と同じで。
渚(良かった、全部揃ってる)
1、武器を二つ持っていること。
2、相手が手練であること。
3、相手が殺される恐怖を知っていること。
渚(鷹岡先生、実験台になってください)
業とAは咄嗟に顔を合わせて、再度渚に目を向ける。
その直後、渚はナイフを捨てたと思えば、鷹岡の顔の前で手を叩き、一瞬でスタンガンを構えた。
「「！？」」
信じられないとでも言うように驚く。
そんな中、寺坂だけが誇らしげに笑って、
寺坂「トドメをさせ渚！
首辺りにたっぷり流しゃ、完全に気絶する！」
その言葉に背中を押された渚は、笑顔で、
渚「鷹岡先生、ありがとうございました！」
鷹岡を倒した。
その瞬間、生徒たちは喜ぶ。
菅谷「ボス撃破！！」
これで、ひとつの問題は解決した。
だが問題は治療薬だった。
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年11月2日 16時
