21話 「期末の結果(2)」 ページ21
『あなたは勉強が得意なのね』
『頭が良い我が子を持って幸せだ』
『お姉ちゃんなんだから弟たちに勉強を教えなさい』
『これくらい出来て当然だよな』
Aは何度も言われ続けたその言葉。
重たい足取りで玄関のドアを開ける。
A「ただいま」
母「おかえり、A」
父「おかえりなさい」
Aは迎えられて中に入る。
リビングに入ると、母がキッチンで夕食を作っていて、父が隣の書斎で仕事をしていた。
母「成績どうだった？」
A「6位でした」
母「あら、そう。
Aが頑張った結果ね」
父「Aはいつも成績良いな」
母「今日はAが好きなオムライスにしようかしらね」
A「……ありがとうございます。
着替えてきますね」
母「いってらっしゃい」
Aはリビングから出て自室に着くと、クローゼットに近づいた。
その時だった。ブーブーとバイブレーションでAのスマホが着信を知らせる。
A「カルマ……？」
業【学校も終わったんだしお疲れ様会やろうよ】
A「だれと？」
業【二人で】
Aは時間を確認すると、頷いた。
業【出れそう？】
A「どこ待ち合わせ？」
業【駅の階段】
A「分かった」
電話が切れるとAは制服を脱いで私服に着替えた。
リビングに降りると先程と何も変わっていない。
A「あ、あの」
母「どうした？」
A「友達と、出てもいいですか？」
母「夕飯は？」
A「作ってくれれば、食べるので……」
母「作って置いとくわね」
A「はい、ありがとうございます」
Aはお辞儀をしてから、行ってきますと家を出ていった。
―――この家は、温かい。
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年11月2日 16時
