17話 「決着」 ページ17
糸成の触手を一発で受けた寺坂。
シロ「よく耐えたね、イトナ、もう一発与えなさい」
危機に直面したその時、業の作戦通り、糸成はくしゃみを繰り返した。
シロを含め全員が驚いた。
業「寺坂のやつ、昨日のシャツと同じのままなんだ」
その一言で全員が全てを察した。
業「ってことは、変なスプレーの成分を至近距離でたっぷり浴びたシャツだってことだ。
イトナだってタダで済むはずが無い。
で、イトナに一瞬でも隙を作れば原さんはタコが勝手に助けてくれる」
そう言いながら業は全員に合図をし、それを見たE組はいつでも飛び込めるよう川沿いに立つ。
寺坂「吉田！村松！デケェの頼むぜ！」
今度は寺坂が水面を叩き、岩場に立っている吉田と村松に指示を出すと、二人は笑って川に飛び込む。
業「殺せんせーと弱点一緒なんだよね？
じゃあ、同じことやり返せばいいわけだ」
飛び込む合図にA以外の全員が川に飛び込んだ。
それから一方的だ。
触手は水に弱い。ということは生身の人間の方が浅瀬では有利。
その証拠に触手は水を吸ったことで膨張した。
業「だいぶ吸っちゃったね〜。アンタらのハンデが少なくなった〜。
でぇどうすんの？俺らも賞金持ってかれんの嫌だし、そもそも皆アンタの作戦で死にかけてるし、ついでに寺坂もボコられてるし。
まだ続けるなら、こっちも全力で水遊びさせてもらうけど？」
この瞬間、決着は着いた。
業の言う通り、借りはしっかり返す。
賞金を取られて「はいさようなら」など、たまったもんじゃない。
シロ「してやられたな。ここは引こう」
それから何かを語っていたが、二人は去っていった。
杉野「ふぅ、何とか追っ払えたな」
岡野「良かったね殺せんせー。私たちのおかげで命拾いして」
殺せんせー「ヌルフフフフッ、もちろん感謝してます！
まだまだ奥の手はありましたがね」
原「そういや寺坂くん、さっき私のこと散々言ってたね。
ヘヴィーだとか、太ましいとか」
寺坂「い、いやぁ、あれは状況を客観的に分析してだな」
原「言い訳無用！動けるデブの恐ろしさ見せてあげるわよ！」
そう言われて岩場まで追いやられて寺坂を、業は笑う。
業「あ〜あ、本当無神経だよな寺坂は。
そんなんだから人の手のひらで転がされんだよ」
寺坂「うるせぇカルマ！テメェも高い所から見てんじゃねぇよ！」
そう叫んだ寺坂は業を川に引きずり下ろし、水遊びが始まった。
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2022年11月2日 16時
