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確かに、逃げていたと言ってもいいだろう。


「―――逃げたかったから、逃げた。それはお前の意思であって、俺が責める立場じゃないだろ。それに、俺はお前じゃないから、お前の気持ちを全て理解することは不可能だ。…けどな」

「…!?」


けれど、それは彼が望んだことであって、結果は、過去は変えられない。
両手で両頬を挟み、上を向かせれば、ぽかんとした表情の彼と目が合った。


「お前が、どんな思いで、逃げて、見捨てたかは…わからんこともない。」

「…!!」

「辛かったな、苦しかったな。…よく頑張ったな」

「――ッ……!!」



再びその頭をぽんぽんと撫でながら、様子を伺えば、不意に横腹に衝撃が走った。抱きしめられたのはすぐ分かったが、地味に痛い。

気が済んだのか、けど何処か名残惜しそうに離れた彼は、俺に向き直り、


「改めて、鶴丸国永だ。俺みたいのが突然来て驚いたか?」

「…少し。鶴丸って呼んでいいか?」

「――あぁ、よろしくな!」


いつかゲームで見た、人懐っこい笑みを浮かべたのだった。


____



「俺は、慣れ合うつもりはないと言ってるだろう…!!」

「まあまあ、騙されたと思ってやってみな、伽羅坊。主の腕は確かだぜ」

「なぁ山姥」

「…なんだ」

「鯛が鯛を釣るってこういう事か…?」←

「…知るか、俺に聞くな」


いや、この場合鶴丸だから鶴が鯛を連れてきたというのが正しいか。
目の前には、鶴丸によって羽交い締めにされている褐色肌の青年…大倶利伽羅が、離せと言わんばかりに手足をジタバタさせている。
何これ、シュール。
そう思ったのは多分俺だけではないだろう。


場所は変わって手入れ部屋。バックに太刀と打刀が付いていたお陰か、至る所から殺気が充満している空間を何とかかいくぐり、手入部屋まで辿り着くことに成功した。

普通なら自室に荷物を置いてくるのが筋だろうが、何よりもここは元ブラック本丸である。人間不信に陥った刀剣男士がなりふり構わず襲って来るオプション付きの。人間誰しも、一人になった時が一番危険、一瞬の隙が命取りだ。

山姥に守りとして付いて貰ってはいるが、何にせよ初期刀だし、まだLv.1だし。
そう言うと拗ねるのは目に見えているので、こう言った。


「自室に行く前に、手入したい。俺が部屋に行ってる間、刀剣が折れてしまったら元も子もないしな。…鶴丸、手入部屋まで案内してくれ」

「あぁ、まかせろ!!」

「…あんたも物好きだな」


また呆れられたが。

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作品ジャンル:アニメ
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翠輝 - 賢治姉のキャラクターに引き込まれました。面白かったです、是非続きをお願いします。 (2016年9月26日 22時) (レス) id: bfcd9a4d58 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - おらん時さん» お姉さんの怪力は元という設定でいきたい(真顔)←異能力はまた別のやつです←コメントありがとうございます! (2016年7月20日 6時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
おらん時(プロフ) - デコピンに思わず笑ったぜ←…ん?賢治のお姉さんも賢治くんと同じ異能なのかな、じゃないと、あの賢治くんが悶えるだなんて…。新奥義(笑)私の新奥義はねぇ…h(ry← (2016年7月20日 1時) (レス) id: 07a8919c5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作者ホームページ:  
作成日時:2016年6月26日 18時

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