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「？あれ麦谷君は力仕事班じゃなかったっけ？」
「うん。そうなんだけどこの娘がうるさくって」
「・・・娘って・・・」
さっきまで腕の中できゃらきゃらきゃらきゃら騒いでいたこの子は今は疲れ切って寝ている。
本当さっきまですんごいうるさかったんだ。
茅野さんたちがやっていた劇でも見に行けばいいもののわざわざ僕を探して僕の秘密をいとも簡単に晒上げ僕から仕事を奪い取った。
赤羽だったら一発二発三発四発顔が判断できないくらいまでぶん殴っていていた。
「へえ、でも随分懐いてるね」
「・・・僕は嬉しくないよ」
「小さい子苦手なの？」
「だって煩いし我儘だし怪我しそうで見ていて怖いし」
あはは そう笑う潮田君だってさっき桃色の髪をした女の子に懐かれていたのを見た。彼はきっとそういう才能でもあるのだろう。
腕の中で眠るこいつを見てため息をついた。
「でもさ、そんなにこの子に関わりたくないならそっと置いて仕事を手伝いに行けばいいんじゃないの？」
「う〜ん・・・でもなあきっとコイツは目を覚まして僕が居なかったらきっと悲しむから」
「やっぱり君は優しいよ」
潮田君のその声を聴きながら僕はこの子の頭をそっと撫でた。
理不尽なこの世界に不満を抱いてもいいのに恨んでもいいのに尖がっちゃってもいいのにこの子は何もしない。抗うことを知らないようにそれが当たり前であるかのように生きている。
それが溜まらなく心に来た。
こんな幼子が辛い思いをしているのに大人は誰も助けてはくれない。本来ならば体験しなくてもいい痛みを体験している。
それが当たり前だと思うからさっき僕にしたように人前で遠慮もなくシャツを捲りあげたり自分のも見せようとしたりしたのだろう。
「優しいか・・・そうだといいね」
大丈夫十分優しいよ
潮田君は僕に甘すぎる。僕はそれに うん とだけ答えた。
「なんということでしょう！！！！」
そして思っていたよりも素早く過ぎ去った二週間は松方さんの復帰とともに終わりを告げた。
千葉君が設計したというこの新しいウッド造りの学び舎は立てたての木々のにおいで満ちていた。力仕事班に割り振られていた僕だが結局今も腕に張り付いているこの小娘のせいで強制的に子供の面倒を見る係に転移だ。
よくできたシステムに目がくらみそうになる中皆で松方さんの前に並んだ。
松方さんが許してくれるかくれないかは施設の改造ではなく生徒との心に寄り添っていなかったらダメなのだそうだ。
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篠鷺(プロフ) - ヒビキさん» 読んでいただき感謝です！亜麻色ですか！先ほど調べてきたんですが確かにそんな色合いで....というよりもモロに理想でした！教えて頂き感謝します。亜麻色亜麻色...良い色でした (2018年3月20日 20時) (
レス) id: 6dfb7746bb (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 遅まきながらこの作品を見つて読ませていただきましたが、めっちゃ面白いです！あと主人公の髪色が何色っていうんでしょうって言ってた件ですがあれ亜麻色(あまいろ)だと思います。厳密に言うともっと違う色なのかも知れませんが、私が見た感じでは多分亜麻色だと… (2018年3月20日 18時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠鷺 | 作成日時：2018年3月11日 11時
