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「君は上に立つべき人間だ。そんなに不安定では困る」
わらって、わらって近づいていた。
父とは違う威圧感。逃げ遅れたおれが悪かった。
誰も居なくなった教室、理事長はおれの席の机に手を置き、おれの顔を覗き込んでくる。
嫌なワンツーマンだ。
「君は自分の欲を開放するためにE組に行ったね。成績優秀者が自ら行くなんて未聞だ。必死こいて必死勉強している彼らに申し訳ないと思ったことはなかったのかい」
健気に勉強している中、君は余裕の表情。恨みを買っていたって可笑しくはないよね。
でもここに居ればその行為は許される。なんだって君は上に立つべき人間なのだから。
「君は、そうなるべくして作られた人造人間だ」
誰も居なくなった教室、嫌に響くいい声。背中ににじむ心地の悪い汗に肩に置かれる理事長の大きな手。そして言うのだ。
「痣が欲しいんだろう」
大きな痣が。心にぽっかりと残る大きな誰かを恨む穴が。
父という存在が既に薄れてきた今、新しい憎悪が欲しいのだろう。
フラッシュバックする記憶。
父にこう迫られた時いつもそばに寄り沿ってくれた人は誰だっけ。
ぎりぎりと肩が軋む。痛い。大きな人には叶わない圧倒的な力の恐怖が再び蘇ってきた。
バカだ。馬鹿だおれ。なんでこの怖さを忘れていた
どうして自ら欲しいと思ってしまった
バカかよおれ
理事長の腕を振り切るとおれは一目散に逃げた。
廊下ですれ違う先生方に注意を受けた気もしなくもないが、焦ったような顔をした生徒に声をかけられた気もしなくもないがおれは、一点を目指して逃げた。
会いたくなった
本校舎を出る。
山道に入ってひたすらに上る。険しい山道も通いなれた道だったはずだったのに先ほどから動悸が病まない息切れがする。
視界が霞む。足が進まない。
嫌われてたっていいから、無性に会いに行きたくなった。
勉強がまっぴらだったあのクラスの友人に、今や第二の刃を持った友人に、あと半年もなく分かれてしまう友人に会いたくなった
おれが通っていない間にこんなにも伸びた草木を、冬色に染まってきた空を肌寒い風の寒さもすべて。おれは此処が好きだ
でも理事長から逃げられるのか
おれは上に立てる人間になれるのか
おれは何をどうすればいいおれの武器は
おれをあいしてくれるのか
父が怖い。殴られるのが嫌だ。ただまっすぐにおれを見て欲しかった
大好きな母に無視をしないでほしかった
公園で出会った嫌いだった同じクラスのガキ大将は俺をまっすぐに見てくれた
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篠鷺(プロフ) - ヒビキさん» 読んでいただき感謝です！亜麻色ですか！先ほど調べてきたんですが確かにそんな色合いで....というよりもモロに理想でした！教えて頂き感謝します。亜麻色亜麻色...良い色でした (2018年3月20日 20時) (
レス) id: 6dfb7746bb (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 遅まきながらこの作品を見つて読ませていただきましたが、めっちゃ面白いです！あと主人公の髪色が何色っていうんでしょうって言ってた件ですがあれ亜麻色(あまいろ)だと思います。厳密に言うともっと違う色なのかも知れませんが、私が見た感じでは多分亜麻色だと… (2018年3月20日 18時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠鷺 | 作成日時：2018年3月11日 11時
