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胸糞が悪かった。
周りに群がる観衆と近づくことは許されないのだと遠巻きにこちらに苦笑いを浮かべる奴ら。
本当に笑えない、
おれが笑えば少しずつ苦笑いを浮かべ、恐れ多いと言いながらこっちに向かってくるんだ。
期待に満ちた目、おれを求める目
ちがう
「A戻ってきてくれて嬉しいよ」
「そう」
「相変わらずつれないな」
浅野はしてやったという顔でこちらを見つめた。A組中の奴らと同じ。いや、窓から見つめる他の学級の奴らだってみんな同じだ。
好きでもない奴らから向けられる好意の気持ち悪さを奴らは知らない。おれがこんな性格だなんて知らない。おれの本心はひどく醜くてひどくもろい
浅野はそれでも、まあ これからよろしくな
といい、席に着いた。理事長の仕業なのにそれを彼は知らない。昨日直接家に来られた。言い渡されたのはA組強制復帰の指示。
いや、あれは指示なんて生易しいものじゃない。命令だ。
誰も逆らえないあの威圧感は父を連想させる。おれは怖かった断れなかった
「でも、どうして麦谷君はE組に行ってしまったの？」
どうしよもない。おれなんかに期待の目を向ける彼女の目は熱っぽい。
そうだ。君なんかが、君は素晴らしいのに。
頭脳明晰で眉目秀麗で、完璧な君はあそこに行く必要はなかったじゃないか
ああ、違うんだ。期待しないでくれ
おれは僕は。違う
「・・・白紙回答をしてしまった自分が許せなくてね。E組に行けは反省できると考えたんだ」
でも、どこかで期待されることを望んでいる自分がいた。
もろい。精神的にもろい。幼いころからよく言われ続けてきたそれ。過去のしがらみに足を取られながらも悪夢に出てきてしまって怖気づいても、それが自分である。
悪夢を見なくなる生活が、しがらみに囚われなくなる生活はどんなに素敵な生活だろう。
でもいざなってみると物足りない
自分はもっと・・・
ああ、
きっとおれは悲劇のヒロインぶりたいんだ。
皆はおれを称賛する。素晴らしい。それならそうと言えばよかったのに。
おれが信用できる人間に値しないというのに相談役を被る仮の友人は皆心からの笑顔だった。
センスもない。学力もおれより下。運動だってできない文才だってないし、君は絵が描ける？楽器弾けるの？字は綺麗に描けないよね。家だっておれより裕福じゃないじゃん。
なのに笑っている。おれは神様かなんかか。
違う違う
おれは結局のところ完璧に作られた自分という存在が大好きなのだ
可愛そうな自分が大好きなんだ
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篠鷺(プロフ) - ヒビキさん» 読んでいただき感謝です！亜麻色ですか！先ほど調べてきたんですが確かにそんな色合いで....というよりもモロに理想でした！教えて頂き感謝します。亜麻色亜麻色...良い色でした (2018年3月20日 20時) (
レス) id: 6dfb7746bb (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 遅まきながらこの作品を見つて読ませていただきましたが、めっちゃ面白いです！あと主人公の髪色が何色っていうんでしょうって言ってた件ですがあれ亜麻色(あまいろ)だと思います。厳密に言うともっと違う色なのかも知れませんが、私が見た感じでは多分亜麻色だと… (2018年3月20日 18時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠鷺 | 作成日時：2018年3月11日 11時
