１３８ ページ40
彼は酷く綺麗だった。
光を写す水面が反射し彼の顔に当たる。長い睫毛は女子でも憧れを抱くだろう。
金色掛かった瞳も薄い色をした柔らかそうな髪の毛も白い肌も細い腰も今だけは光に負け消えてしまいそうな儚さを醸し出している。
彼は酷く綺麗だった
今だってあちこちで息をのむ音が聞こえてくる。彼は男だと女では無いのだと表情が態度が語るのに何故にもこう魅力的に映るのか
A君は寺坂君に話したい事があると呼び出したが彼は動かずただただ言う機会をうかがっているのだろうかソワソワとどこか落ち着きが無い。
「うわっ」
途端そんな間抜けな声と共に水が弾ける音がした。プールサイドにA君は居らず手を伸ばし切った寺坂君だけが居る。
プールに落とされたのだろう。少しして水面から顔をのぞかせる
何するのさ、竜馬。 少し怒ったように髪をかきあげて言う彼もまた綺麗だった。
「お前が何時迄もウジウジしてっから悪ぃンだろ」
はっ 乾いたような笑みを浮かべながらも表情は柔らかい。それに感化されたのかA君も口元を緩め、そこまでする？と何時もの伸びきった口調で首をかしげる
それで緊張がほどけたのか彼は穏やかにこういった。
「おれさ、今までずっと竜馬縛り付けてきたんだよね」
「？はあ？」
「おれがいるせいで竜馬はこんな人生歩むことになったんだよ」
重い話だって、自分が何を言ってるかだなんて頭のいい彼なら分かるだろう。別に厨二染みたいわけではない。ただただ心からの本心の言葉
「最近ね申し訳ないなって良く思うんだ。一人で生きれるように頑張るって言ったのに結局おれってば竜馬がいないと安心できないから」
「・・・別にそれでいいだろうが。俺だってお前いないと不安になるときあるしよ」
ダセえけどよ・・・頭の後ろを掻いて言う寺坂君は耳が少し赤くなっていた。しかし、A君は良い顔をしない。昔の彼にとっては嬉しかったはずの言葉だろうに今は微かに苦しそうに叫びたそうに何に抗うような顔をしている。
「きっと、竜馬をそんな風にさせちゃったのもおれのせいなんだよ。おれは確信犯だから」
プールに浸かっていることに躊躇いも何もないのか制服のままぶくぶくと沈むAくんの前のプールサイドにどかっと胡坐をかいて座る寺坂君。
「おれが竜馬のこと大好きだからおれのことも大好きにさせようと竜馬の気ずっと引いてきたんだよ」
「・・・最低だな」
「でしょう？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
篠鷺(プロフ) - ヒビキさん» 読んでいただき感謝です！亜麻色ですか！先ほど調べてきたんですが確かにそんな色合いで....というよりもモロに理想でした！教えて頂き感謝します。亜麻色亜麻色...良い色でした (2018年3月20日 20時) (
レス) id: 6dfb7746bb (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 遅まきながらこの作品を見つて読ませていただきましたが、めっちゃ面白いです！あと主人公の髪色が何色っていうんでしょうって言ってた件ですがあれ亜麻色(あまいろ)だと思います。厳密に言うともっと違う色なのかも知れませんが、私が見た感じでは多分亜麻色だと… (2018年3月20日 18時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：篠鷺 | 作成日時：2018年3月11日 11時
