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「うまそうな料理じゃねえか。いつもあんなの食ってんのかよ・・・」
「麦谷君ピアノ弾いてる」
窓からのぞく家の風景はとても穏やかだった。
おいしそうな僕らの普段では考えられないような豪華な食材が並び綺麗に陳列する恐らくは大手企業の方々。そこに一礼をして前列のピアノの席に静かに座った麦谷君はいつもと違う雰囲気で髪をかき上げしゃんとした服を着ていた。
服が変われば雰囲気も随分と変わり、彼は大企業の息子だと言われても何の恥でもないだろう。
防音がちゃんとしてあるのか外まではピアノの音が聞こえなかったが緩やかに揺れる彼の姿は見ているだけでも美しかった。
お辞儀をした時も所作がちゃんとなっていて作法の教育のおかげなのだと思う。
やがて集会も終盤となりちらほらと帰る準備をする人が増えてきた。
それと同時に演奏を辞め彼らをを見送る麦谷君はやっぱり僕らとは住む世界が違うことを思い知らされた。
「・・・麦谷君あそこにいる方が似合ってるね」
「まあね。でも気持ち悪や」
「そうだな。見ろよあの笑顔一学期頃の笑顔にそっくりだ」
「ああ、あれは猫をかぶってるな」
「帰ってきたら笑ってやろう」
「・・・貴方達飽きないわね。また麦谷君に怒られるわよ」
片岡さんに叱られながらも彼のことを盛大に弄る彼らはニヤリと嫌な顔をして笑った。弄り弄られの関係って言うのは思ったよりも強い絆があるのかもしれない。僕はそんな彼らを見てまだそういう関係になっていないここに居ない彼のことを思って少しだけ寂しく思う
だから彼が此処に本当の笑顔で戻ってきたときは僕らが彼を救った日だ。
その日僕は彼と本当の友達になろう。そう思った。
しばらく観察してると食事会に来ていた方々が会場から居なくなった。
途端父親であろう男性は麦谷君をどついたのだ。お手伝いさんが必死に止めているがそれでもその男性は暴力を辞めない。
きっとこの家ではあの男の人が一番上なのだろう・・・いや、世界的にもあの人は上位だ。僕らだって逆らえるわけない。
麦谷君の髪を引っ張ってどこかに連れて行った男性の後を追う。寺坂君が言うには恐らく彼の部屋だというのでさっきまでついていなかった暗い部屋を目印に進んだ。
そこからが見ていられなかった。
クラスの女子たちは真っ青になって俯いている。当たり前だ僕だって今すぐ目をそらしたい。そのぐらいひどい暴力。
けれど一番僕の心が深く傷ついたのは何も抵抗をしない麦谷君の姿だった。
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篠鷺(プロフ) - ヒビキさん» 読んでいただき感謝です！亜麻色ですか！先ほど調べてきたんですが確かにそんな色合いで....というよりもモロに理想でした！教えて頂き感謝します。亜麻色亜麻色...良い色でした (2018年3月20日 20時) (
レス) id: 6dfb7746bb (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 遅まきながらこの作品を見つて読ませていただきましたが、めっちゃ面白いです！あと主人公の髪色が何色っていうんでしょうって言ってた件ですがあれ亜麻色(あまいろ)だと思います。厳密に言うともっと違う色なのかも知れませんが、私が見た感じでは多分亜麻色だと… (2018年3月20日 18時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠鷺 | 作成日時：2018年3月11日 11時
