直線鬼は女好き。 【新開 隼人】

FORTY-FOURTH ページ45

だんだん、気付き始めている。


自転車競技部の部仲を一番乱しているのは、あたしなんじゃないかって。


どうして自分じゃ何もできないの？


どうしてすぐに他を頼ってしまうの？


努力をする気にならないの？


そんなことを、脳内で誰かが聞いてきた。



あ「･･････。」



荒北センパイはあのあとすぐに部舎に戻り、あった事を主将さんに報告しに行った。


あたしが新開センパイにされそうになったことは伏せてくれたのだという。


今までそこに並んでいた幸せが、ドミノのようにどんどんと崩れていく。


なんだろう、とても怖い。



真「藍川さん？」


あ「うん？ あっ、ごめん真波！ もう一回話して。」


真「ううん、別にいいよ。････藍川さん、だんだん口調が戻ってきたね。」



真波は、あたしの髪を指で少し梳いた。



真「メイクもしてないよね。」


あ「えっ!?」


真「え。なに、気付いてなかったの!?」



ピアスは相変わらず健全だけど。


･･････何でか、なんて、理由はもう分かってる。




『――でも化粧は嫌い。』




ダメなんだよ。


このままの気持ちで一緒に居たら。



あ「･･････ねえ、真波。」


真「ん？」





白黒、つけないといけない。





あ「････あたしたち、別れよう。」

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