直線鬼は女好き。 【新開 隼人】

THIRTY-FOURTH ページ35

あ「また捨てられるんじゃないかって････真波はそんな奴じゃねえのに、そう思う･･････。」


真「････そっか。」



真波は壁についていた肘を、身体の横に垂らした。


眉はハの字のままなのに、真波は笑った。


やめてよ、お前のそんな顔見たくない。



真「そっか〜！ 返事はいつでも良いから。落ち着いたら、いつでも俺に言ってね。じゃ！」



真波はそう言ってポケットに手を入れ、踵を返した。


あたしの恋愛を支えてくれた1人に、そんな扱いしちゃダメだよね。



あ「･･････待って。」


真「ん？」



振り返った真波の顔は、一瞬憂いを帯びていた。


････あたしを、本気で好いてくれてるんだ。



あ「････あたし、まだアイツが好き。それでも良いなら、いいよ。」


真「!!」



真波は大きな目を更に丸くした。


なんて自分勝手なこと言ってんのかな、あたし。


ほんと馬鹿。



真「･･････勿論！」



あたしに駆け寄り、真波はまた、あたしを強く抱きしめた。


思わず身体が反り返る。



あ「ちょっ!?」


真「分かってたよ、藍川さんが引きずってること。でもそれでも、そういうの全部、俺が受け止めるから。」


あ「！ ･･････ありがとう、真波。」



真波は、あたしの頭を、そっと撫でた。

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