直線鬼は女好き。 【新開 隼人】

THIRTIETH ページ31

新開センパイにフられた日から、私はあたしになった。


スカートの丈は5cmも短くした。


髪は段をつけて短く切った。


雑誌を手本にメイクも始めた。


手首にはいろんな色のブレスレットにバングル。


すれ違うたびに匂う、ローズの香り。


耳からぶら下がった三角形のピアス。


可愛くなって、絶対に見返してやる。


――新開 隼人。



男「ねえそこの姉ちゃん、俺たちと一緒に遊ばない？」


あ「へえ、いくら。」



くだらないナンパなんてどうでもよかった。


ケータイには、顔も覚えてない男のアドレスが山ほどできた。


鈍く輝くピアスが増えるたび、男が寄ってくる。




真「････ねえ、藍川さん。もうやめなよ。」


あ「はあ？」


真「聞いたよ、ウワサ。お金貰って、知らない男と遊んでるって。」



――出た、『風のウワサ』。


新開とも、荒北センパイと私のそれをキッカケに付き合ったんだっけ。


もうずいぶん昔のことに感じた。



あ「別にいーだろ。お前には関係ねえし。」


真「ある！」


あ「････関係、ねーんだよ。････いい加減どっか行け。」


真「いい加減に目ェ覚ましなよ、藍川さん!!」



もう何日、笑ってないかな。



あ「――――いちいちウゼェんだよテメェは!!!」

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