【五条悟】記憶喪失のフリをしたら元彼と付き合うことになった件について。 (ページ38)

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『傑兄が死.んだって聞いた時もそう。
私はもう呪術師から離れてた。』

恵「救えたかも、って思ってますか」

『･･･まぁ、悔やんじゃうよね、やっぱり』

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【死んだ】そう聞かされた時、
この人は1人で泣いていたんだろうか。

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『傑兄は私の大事な人。
多分、一生変わらない事実だと思う。

それが例え敵対する相手であっても、
誰かが彼を乗っ取っているのだとしても。』

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少しづつ、声が裏返り始める。

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『あれが傑兄なら。
傑兄の身体であるなら。

私に、っ、傑兄は殺せない、っ。
ぜっ、ったい、っ、殺.せないんだよ、っ』

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【ごめん、ごめんね。】
そう言う彼女の嗚咽は悲痛な悲鳴に聞こえた。

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恵「･･･大丈夫、貴女に手は下させません」

『ぅ、っぐ、っん、ぅ、、』

恵「泣いていいんで。寄りかかってください」

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Aさんの身体を寄せ、
俺の肩に頭を埋めさせた。

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恵「けど、それでもあの人は敵です。」

『っ、ん、、ぅん、』

恵「それだけは、分かってください」

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俺は子供で、この人は大人。
大人だって泣きたくもなるはずだ。

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恵「(酷な事言って、すみません)」

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【分かってくれ】【察してくれ】
遠回しにそう告げている様なものだ。

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この人のは、ある意味＂我儘＂だ。
【知り合いだから殺.せない】そう言ってる。

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恵「でも、今は。忘れててください」

『！』

恵「今だけは、俺と同じ子供ですから」

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この人は、何を背負って、何を思って。
【呪術師】を全うしていたんだろう。

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『っ、ぐ、み、っ、』

恵「はい、恵です」

『っ、～～～･･･！』

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声を押し殺して泣く姿に、
何時もこうだったのか、と目が痛む。

それと同時に五条先生の想いがまた、
俺の中で強くなっていった。

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( ＿＿＿ﾊﾟﾀﾝｯ

恵「(俺まで釣られて泣いてしまった、、)」

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泣き疲れたのか眠ってしまったAさん。
布団を掛けてから俺も部屋を後にした。

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「恵、」

恵「！、ずっとそこに居たんですか。」

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何時からか、なんて敢えて聞かない。
多分答えてくれないだろうから。

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恵「＿＿＿五条先生」

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澄ました顔の上に栄える目隠し。
それを、俺は【敢えて】歪ませてやった。