今日も兄弟は奮闘中

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S:紫耀



海人「っ！！……っ、…」



「息止めないよ、かいとー」



針を刺した途端、
体が強張り、呼吸も止めて痛みから
逃げようとする。



でも、このままだと
危険だし、薬の投与もできない。




「海人ー、痛いけど呼吸はちゃんとして。
頑張らないと終わらないよ？」



酷なこと言ってるのはわかってる。



でも早く終わらせてあげたい。




海人「っ、…んっ…、た…ぃ…」



ちゃんと飛ばさないで頑張ってるね。



「そう、いい子。
吸って吐いてして？」



海人「…(ふるふる)」



このままだと心臓への負荷が大きすぎて
発作起こしかねないんだよ。



「海人、ダメ。大きく呼吸しなさい。」



海人「…っっ、……た、い…泣」




「痛いのはわかってるよ。
でも頑張らないと終わらないの。」



こんな時だからこそ
優しくしてって廉に言わたことあるけど
優しくしてたらその前に発作起こす。



「海人、できるでしょ？」



海人はポロッと涙をこぼすと
大きく呼吸した…



そのタイミングを見て、
注射のプランジャーを押して、
薬液を投与した。



海人「っ、ぎゃー！」



廉「…かいと…」




拘束具が壊れるんじゃないかって
言うくらい暴れてる。



それぐらい痛い…



わかってる…



海人「ぎゃぁぁぁぁ！！！」




薬の投与で
胸が熱くなる感覚が海人を襲う。



海人「っ、はぁっはぁっ…っく…」




「偉いよ、海人。頑張ったな。」




厳しくした分、
終わったら甘やかして、褒める。



でもまだその熱くなる感覚が辛そう。



海人「っ、つ…い…っ、はぁ…泣」



拘束具してなかったら
胸を掻きむしってると思う。



発作予防の薬を打つと
痛いし辛いけどこれで
発作は起こしにくくなる。



また明日の朝になってみないと
まだ安心はできない。



…
…


本当は海人が自分で言う前に
俺が気がついてあげられたらいいのに。



海人は言わなかったら発作起こすし、
言ったら痛い注射が待ってる…



こんな葛藤の中
俺に言いにきてくれるんだ。



俺が早く気がついてあげたい。



海人「…も、やだ…もうやだ…泣」




「うん、頑張った。もう嫌だな。
偉いよ。海人。かっこいいよ」



海人「…もう、しない…もうしない…」



「うん、もうしたくないな」



気を失いそうな中
これを頑張って俺に伝えようとしてるのを
見ると心が痛む。

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