episode.73 ページ23
*
阿部side
普通だったらこんな大きな総合病院に足を踏み入れるのなんて、ドキドキするもんなんだろうな。
他人事のようにそんなことを思う俺は、もうこの景色にも慣れたもので、今日は採血室にあの上手な看護師さんいたら良いなあなんて考えていた。
20代の若い人なんてごくごくたまにしか見かけないこの外来で物珍しそうにジロジロ見られるのだってもう何とも思わない。
今日は月に一回の外来受診日。
ここ最近の調子でいえば、超優秀ってわけでもないけど先生と顔を合わせるのが気まずいような数値でもなく、ノートもリブレもまぁ普通に差し出せるくらい。
それなのに、どうしてこう気が重いのかというと、この間スタッフさんから掛けられた言葉と、そして、たまたま聞いてしまったそれスノの放送作家さんと照の会話、頭から離れなくてね。
そんな気持ちで足を踏み入れた診察室。
採血の結果やら日々の数値やら体調やら、一通りの確認が終わると、
先「で、お仕事で何かあった？」
胸の内を見透かされたかのような問いかけに驚いて固まってしまっていると、
先「阿部くん、A1c下がってたらいつももっと嬉しそうにするでしょ、でもノートもリブレも出し渋らなかったから、こっちじゃなくてお仕事かなって。」
色んな気持ちがごちゃごちゃと込み上がってきて、鼻の奥がツンとした。
「先生には、隠し事できないっすね、」
なんて、まるでバレてしまったかのように言ってみたけど、本当は聞いて欲しかったんだ。
病気を隠さず堂々としていたい気持ちもあるけど、間違った認識が広がることへの恐怖心もあって、その狭間で葛藤していること
心配や配慮は有り難いけど、なんとなく、腫れ物に触れるような扱いを感じること
心に溜まったモヤモヤが、一気に口から流れ出した。
「何かあったら責任取れないからやらせないで、って。それがめちゃくちゃショックで。だけど、なんて言ったら理解してもらえるのかも上手く考えられなくて。俺もっと頭使えると思ってたんですけど、なんか、全然ダメですね…」
自嘲気味に笑ってみせると、先生は少し困ったような顔をした。
でも、無責任に『分かるよ』なんて言われるよりもなんだか安心したんだ。
「ごめんなさい、ここ以外でこんなこと、言えなくて。」
たぶんいつも通り笑えてたはずの俺に先生は、『困ったことがあったらいつでも連絡しておいで』そう言ってくれた。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
