episode.63 ページ13
*
阿部side
やってしまった。
目が覚めたのは、マネージャーからの『あと30分で着きます』の連絡だった。
飛び起きて、急いでシャワーを浴びる。
我ながら矛盾してると思うけど、夢で見るほど嫌でも頭にまとわりついてくるくせに、都合良く忘れ去ってしまう瞬間もある。
濡れた髪のまま冷蔵庫から取り出すのは憧れの先輩がCMをしているゼリー飲料。
ふらつきと怠さの残る体は寝落ちの代償だと勝手に思い込み、何も考えずに一気に流し込んだ。
迎えの車は俺ひとり。
本当はここで思い出したら良かったんだけど、そんなことを考える間もないくらいまたスッと眠りに落ちた。
現場に着き、案の定最後のひとりを待っていた楽屋は、既にどんより重たい空気が完成していた。
「おはよう、」
みんなとこれだけ一緒にいて、こんなに気まずいことがあっただろうか。
とりあえず一番近くのソファの隅に腰掛けて、タブレット片手にノートをペラペラと捲ってみる。
なにひとつ頭に入ってこないけど、みんなの輪の中にも入っていけなくて、そうするしかなかった。
10分近く経った頃、後ろから控えめに声をかけてきたのは、昨日連絡をくれた本人だった。
照「阿部、ちょっとみんなで話せる？」
昨日と同じように囲んだその席は、なんだかとても異質な感覚がして、嫌な汗が背中を伝った。
なんのために集まっているのか、何を話したいのか、わかりきっているはずなのに、みんな黙り込んだまま。
耐えかねて口を開こうとした時、沈黙を破ったのは意外にも最年少の彼だった。
ラ「、、阿部ちゃん、治らない病気なの、、？」
「っ、え、、？」
ラ「________病、、」
深「ちょっと、おい！ラウ、やめろって！」
思いもよらない一言に頭の中が真っ白になっていると、次に聞こえてきたのは普段あまり聞くことのないふっかの少し怒ったような声だった。
ラ「なんでよ！みんなして黙って、このままじゃ前と何も変わらないじゃん！」
深「そうだけど、順序ってものがあるでしょ。大人になったら、知られたくないこととか言いにくいこととか色々あるんだよ、」
ラ「っ、、そうやって！みんな自分が傷付けたと思いたくないんでしょ？結局自分が一番大事なの？」
俺のせいで、また。
瞳の淵ギリギリまで、もう涙は流れる寸前だった。
「ねぇもう、、やめて、、ねぇ、、ごめん、、やめて、」
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
