episode.85 ページ35
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阿部side
ラウと翔太の言い合いの原因は俺だってこと、本当は気付いてる。
でもさ〜、ね。
みんなは俺がやりづらくならないように気遣って色々考えてくれてるわけだからさ、俺は知らないフリしてその好意をありがとうって受け取るのが今はベストなんだと思う。
発症からしばらく抱えていたモヤモヤした気持ちも整理して、色々な葛藤にも蹴りをつけて、考えすぎずに上手くやれるようになってきたつもりだった。
だけど、こういうことがあると度々思い知らされるのは、心の奥底の本音は、まだまだこの病気を受容しきれてなんかいないってこと。
精神的に病んでしまうほど悲観的になったり治療を放棄したり、そんな気を起こすことは流石に無くなったけど、時々耳にする『この病気になって気付けたことがあるから…』みたいな気持ちはどうしたって1ミリも理解できない。
調子が悪いって訳じゃないけど、なんか、なんとなく、その後の外来に向かう足取りが久しぶりに重たく感じた。
長い待ち時間、動画を見たり本を読んだりゲームをしたり、暇を潰せる手段なんていくつもあるはずなのに、待合室の椅子に座ると何も手をつけたくなくなるのはどうしてだろう。
仕事の時では考えられない時間の使い方、ただぼーっと遠くを眺めていたら、慌てた様子の看護師さんが採血の結果を持って側にやってきた。
看「阿部くん、今体調悪くない?」
「へ…?、、いや、別に、大丈夫です、、」
看「そっか、何もないならいいんだけど…ケトンが出ちゃってるみたいだから。」
心当たりはあるかと問われたら、まぁ無くはないけど。
血糖値に振り回されたくないからお米を食べなかったり、みんなと同じタイミングで食事をしたいために低糖質なものばかり口にしたり。
糖質制限はご法度と言われるこの病気を持っていながら、意図せず糖質が足りなくなってしまっていたらしい。
でもまさか、それだけでこうなるとは思いもしなくて。
いやでも痛感させられる、俺の身体はもうみんなとは違う。
親身になってくれる先生、優しい看護師さん、全てを受け入れてくれる存在を前にして甘えもあったのかな。
もう誰にも言わないと決めていたはずの言葉がつい溢れてしまった。
「俺、やっぱり間違ってたのかな」
もう何度目だろう、またこうして心が折れそうになった。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか? (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです!更新待ってます、頑張ってください! (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃ | 作成日時:2021年5月23日 22時