episode.7 ページ7
*
阿部side
やってしまった。
目が覚めると、昨日までは無かった違和感を感じた。
公演期間中に喉を痛めるなんて、座長失格だ…
気分は下がる一方だけど、そんなこと考えてたって埒があかないのは自分が一番分かってる。
とにかく今出来ることをしなくては。
そう思って、会場入りしたその足で楽屋には行かずにスタッフさんに声を掛けた。
「すみません、スチーマー吸入器ってお借りできますか…？」
ス「あれ、阿部さん珍しいですね。渡辺さんにおつかいでも頼まれました？」
「いえ、今日は僕が…喉痛めてしまって。」
ス「え、大丈夫ですか？すぐ準備するので座って待っててください！」
スタッフさんがテキパキと準備をしているところをぼーっと眺めていた。
ス「体しんどいです？」
「あ、いえ、大丈夫です。」
ほんとはちょっとだけ怠いけど、体調悪いと思ったら負けてしまう気がして、疲労感だと思い込んだ。
程なくして準備が終わり、吸入を始めると、
ス「阿部さん、これ挟んでください。」
差し出されたのは体温計。
熱がある気もしないし断ろうとしたけど、意固地になって迷惑をかけるのも違うと思って素直に体温計を受け取った。
体温計が鳴るまでの静かな空気の中、背後から佐久間と目黒の声がした。
目「阿部くん？何してるんすか？」
やべ、見られちゃった。
隠すつもりもなかったんだけど、何もなければ言うつもりもなかったからちょっと気まずい。
とりあえずなんでもないことを伝えなきゃと思ったのに、ピピッと鳴った体温計を取り出すと37.7℃。
思いのほかしっかり熱があるのを見て、苦笑いするしかない。
慌てた様子の佐久間を見て、メンバーにもちゃんと伝えておかないと後で怒られると悟った。
「大袈裟だって〜微熱だよ。これだけ終わったら楽屋戻ってみんなにもちゃんと話すから。」
そう伝えると、2人は渋々と納得したように楽屋に戻っていった。
吸入を終えて楽屋に戻ると、佐久間から話を聞いたらしいメンバーは至っていつも通りに接してくれた。
俺が気負わないようにしてくれたんだろうな。
そう思うと嬉しくて、普段なら強がって返してしまう館さんの優しさにも素直に応えることにした。
万が一舞台の上で何かあったら嫌だしね。
そんなみんなの優しさを感じながら、公演中はアドレナリンも手伝ってか、特にしんどさも感じずにやり切ることができた。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
