episode.46 ページ46
*
目黒side
ドラマの撮影がひと段落して、明日は久々に丸一日のオフ。
何をしようか考えながらいじるスマホに、マネージャーからメッセージが届いた。
阿部ちゃんの代わりにYouTubeの撮影に参加してくれないか、と。
おお、まじか。
俺結構休み無かったんだけどなあ…なんて少しだけ思いつつ、でも阿部ちゃんも忙しそうだし仕方ない。
最近はメンバーとの撮影が終わったあとすぐに別の現場に向かうことが多かったから、今日もあの後楽屋で何が起きていたかを俺は知らなかった。
「おはよーございまーす。」
スタジオに入ると、どうやら俺が最後のひとりだったらしく、他のメンバーは頭にハテナが浮かんでた。
照「あれ、目黒今日休みじゃないの？」
急だったから、みんなには伝わってなかったみたい。
「俺も詳しくは聞いてないんすけど、阿部ちゃんの代わりです」
そう言うと、岩本くんと佐久間くんと舘さんが、「あぁ」とバツの悪そうな顔をした。
「なんかあったんですか？」
忙しくてゆっくり話したりすることもほとんどできなかったから、メンバー同士の小さな異変に俺は気付けていなかった。
宮「翔太と阿部が喧嘩しちゃってね、」
“ 喧嘩しちゃった ” 館さんはそう言ったけど、その内容を聞いたらどう考えても喧嘩ではなくて翔太くんの一方的な八つ当たりに感じた。
片方が言いたいことを言って、もう片方が泣きじゃくっているだけなんて、喧嘩じゃないでしょう。
「誰も、止めなかったんすか？」
一応、喧嘩だという体でそう聞き返すと、
宮「たまには言いたいことぶつけ合うのも必要だと思って。」
つまり、面倒なことに首を突っ込みたくなくて見て見ぬ振りをしたってことね。
ここまで聞いて、我慢なんてできなかった。
「みんな、おかしいっすよ、良い大人が揃いも揃って。
喧嘩じゃなくて、一方的に阿部ちゃん傷つけてるだけじゃないですか。
声上げて泣いてるメンバー放っておく神経が俺には分かんないっす。
俺もう今日撮影出来ないんで帰ります。」
やってしまった。
勢いで言いたいことをストレートに言ってしまう悪い癖。
でも、それが本心だし、年下だからって引き下がれなかった。
帰らないにしても、ここからは抜け出したくてスタジオを後にしようとした時、ここにいるメンバー全員のスマホが一斉に鳴った。
阿部ちゃんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
