episode.37 ページ37
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阿部side
体調のコントロールが上手くできないまま、発症から３ヶ月が経った。
相変わらず２週に１回の通院は減らず、心も身体も不安定なまま、また迎える受診日。
これといった弱音も吐かずに明るく振る舞ってきた診察も、今日はやけに気が重い。
メンバーにも様子がおかしいことを察せられ、体調管理も思うようにいかない。
自分の中でもキャパオーバーになりつつあるのは薄々気付いていたけど、その気持ちと向き合ったら崩れてしまいそうでまたそっと心に蓋をした。
『 診察番号○○番の方お入りください 』
何度来ても慣れない大きな病院の外来から流れるアナウンス。
安定しないぐちゃぐちゃの数値が書き込まれたノートを握りしめて、診察室へと向かった。
先生はいつものように、『ノート書いてる？』と一言。
黙って手渡すとパラパラと目を通して、難しい顔をする。
医「きちんと注射は打てていますか？」
先生はいつも、仕事柄不規則になりがちな俺のことをすごく心配してくれて、きっとこの言葉もそうなんだとわかっている。
だけど、心が不安定だから、治療をサボっているのではと疑われたような気持ちになり、いつものように笑えない。
「…はい、一応…」
医「そうですか。このまま改善が見られないようなら、一度入院を検討しても良いかなと思う数値ではあるんですけど…」
突然入院を勧められ、焦って咄嗟に言葉が出なかった俺は必死に首を横に振る。
医「お忙しいと難しいですよね。まぁ、外来でも対応は出来ますから、焦らず少しずつやっていきましょう。」
結局、何も打ち明けられないままいつもと同じように診察を終える。
両手いっぱいに処方された薬や医療器具を抱えて歩く帰り道。
病院に来たからと言って治るわけでもなく、数値が改善するわけでも無い。
自分がどう頑張って向き合っていくか、それしかないという現実が、また重く心にのしかかった。
完全にネガティブモードになってしまったその夜、珍しく館様からサシ飯のお誘いがあった。
今までだったら、落ち込んでいる時にメンバーと話すのは大きな支えになっていたけど、病気や治療のことを隠すようになってからは、食事を共にすることも辛い時間の一つになってしまっていた。
でも断ったら怪しまれるのだろう。
そう思ったら行くしかなくて、明日の夜、館様とふたりでご飯に行くことが決まった。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
