episode.36 ページ36
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岩本side
阿部はまだ万全じゃない、そうふっかから伝えられたのが２ヶ月くらい前のこと。
初めに気がついたのが目黒とラウールだったらしいけど、みんな知っていた方が良いだろうってふっかの判断で他のメンバーにも伝えられた。
歌舞伎の時に体調を崩して以来、激減した体重の戻りが悪いらしくて。病院にかかってるけど普通に元気だよ、そう阿部が言っていたとふっかは話していた。
気には掛けていたものの、特に疑いもせず過ごしていた。
だけど、季節が秋に変わりツアーの稽古が始まった頃から、俺だけじゃない、他のメンバーも阿部の様子に明らかな違和感を感じ始めていた。
稽古をしていてもとにかくスタミナが続かなくて、体力が戻らないというより、日増しに落ちているという印象だった。
怠そうにボーッとしている日もあれば、真っ青な顔でどこか様子がおかしかったり。
なんとなくだけど種類の違う不調を、日々繰り返しているように見えた。
前にふっかに聞いた話が本当なら病院には行っているはずだけど、だとしたら一向に改善しないのはどうして？
本当はすぐにでも声を掛けたいところだけど、心配のあまり俺はきっとまた言いすぎてしまう。
ぐっと堪えて、まずは近くにいた館さんと康二に聞いてみることにした。
「…阿部、最近おかしいと思わねえ？」
ふたりとも、一瞬は驚いた顔をしたものの、続く言葉は思った通りのものだった。
宮「うん、思ってた。」
向「やっぱりそうやんな、みんな思ってるよな。」
宮「歌舞伎の時の、まだ治ってないのかな？」
それぞれが考え込むように、静かな空気が流れる。
宮「でも、ちゃんとお医者さんに見てもらってるって、本人は言ってたんでしょ？」
向「あんまり言い過ぎてもやけど、あれを放っておくのはちゃうよな。」
「俺が直接聞いても良いんだけどさ、感情的になって言いすぎちゃう気がするから…」
宮「俺で良ければ、声かけてみてもいい？」
館さんなら、感情に流されずに正しいことを言ってくれそうだし、任せてみようかな。
ふと視線を向けた先には阿部と目黒の姿。
目黒は阿部の顔を覗き込むと、隣に座って背中をさすりはじめた。
そしてそれをそっと振り払うように立ち上がり、カバンから何かを取り出してまた姿を消す阿部。
ほら、やっぱりおかしいよ。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
